ちいさな朝に






やがて
みじかい雨は終わり
日のあたる森を
蜘蛛がわたる
宙にひびをいれながら
虹をつむぎながら
確かに違った私さえ
もやのかかる背景にして

果てた路上に
あなたのおもかげごと忘れる
ひたすらにあるき
疲れたら やすめる翳が
ぽたりと在るように
あなたもあなたのもとへと
お帰り、

夢のなかでは
いつも ひとり
観覧車にのって遠くのくにの
うしなわれた言語を
耳をすまして
聴いていた

芽が土をわけて
てのひらをひらくと
少しだけ もちあがる空
そうして軽くなったいのちを
ひとびとは春とよび
あたたかいと瞼を
とじている

朝方
こわれた百葉箱から
水銀があふれて
世界が終ろうとしていた





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