「宝石」



 

町のはてにある海岸
さんかくの石を拾って
てきとうに積み上げる
正座をくずして
ぺたんと座るおんなのこ

あたりは
檸檬の果実を
しぼったような、雨
スカートのぽけっとの中には
白熱電球をひとつ、
隠しもっている

ぞわぞわと遠くの
空中をおよぐ魚を
みつあみをしていたゴムで
うちおとす
きゅうしょにあたる
ぴたりと弾き
魚は
ちいさなひめいをあげて、
海にうかんだ


それをみとどけて
おんなのこは
たちあがって、波に浸かる
ふくらはぎまで
海のいきものになる

地上にはもう
もどりたくないの、という
このまま
海にしずんで、
ぬめぬめとした海藻に
なって
すこしずつ
さいぼうを失って
しぬの

かかえこんだ気泡を
ぜんぶ解放して
息をとめたら
宝石みたいに
透きとおった青がつらなって
あらゆる目という目に
こぼれる

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