玩具の町




堰をきる
しずかに門をあけた番人は
まのびした星の弧をみあげた
すべての家々に炎を
つけていった、彼らの
足音はきれいに整列して
西のほうへ向かったよ、と、
砂まみれの
みえない眼で、それでも
明けることを
ずっと知っていたから
うっすらとわらっては、いた

くろく伏せた街を
たくさんのカメラたちが行き過ぎる
ちぎられた手を
あらゆる角度で撮り
ひととおり終えてしまうと
もうつまらないと
眼をそむける
だったら
あたしたちはシャッターのなかで
あきるほど、しんでいこうね

焦げた陸の下
かすかに水の流れる
音がする
かろうじて原形をとどめた
くすり指で、砂を
掻いたら
指はぐずぐずと崩れた
不思議といたくない
もう影もなくなったから
陸はひたすら
明けるしかないのだ

堰をきる
水はない炎も、ない
あたしたちを
大きく、のむのは
そんなものじゃないから、
こぞって門をあけて
押し寄せた
波の去る部分から
生臭さ
やわらかな角質
半分にかち割れたたましい
せかいの正体、は
いつもたやすく
在ること
誰もが既に知っていて
だけれど
輪郭もないまま
うまれる筈
では
なかったの、
祈りには
まだ
すばらしく遠い
途の、





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