カランダッシュと電波



 
事実として、
飼い犬は死んで
群青色の鳥は海に消え
おんなは子供を抱きかかえた
海の向こうにはきっと
祝われない花が
咲きこぼれている

砂浜に積み重なる手首の中に
一本のペンを見つける
初めて見るものだったから
おそるおそる、
指でつまんで空に翳す
繊細、
を濃縮したような切っ先に
名前をつけるとしたら
"カランダッシュ"
太陽に黒点を刻むみたいに

頭にアンテナなんてありません
黒い髪がぱさぱさに渇いて
潮風に揺れて
わらっていました
波を垂直に泳いでいるのは
汽笛の音でした それは
もしかして
夢だったかもしれない
けれど、

世界はとても平坦で
生き物は寝そべるようにして
地面を埋めていく
事実として、肌はなく
交差点に立っている信号機は
黄色のまま停止している
柱の影に
ねこじゃらしが耳をすまして
光速の音を待っている

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はなのかんむり






















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