はんそで





紫陽花の花びらでできたような羽で
屋根に
キャベツ畑に
庭で昼寝する犬の睫毛に、
鱗粉をふりまく
紋白蝶。

少年は色あせた青色のキャップをかぶり
曇り空の下、駆けまわる。
捕まえようとしているのは生ぬるい南風、空へと
うでを伸ばす少年は道の向こう、
あっという間に見えなくなった。


、、、


音のない雨が
色のない雨が

世界を平たくひきのばす。
軒先に置いたサボテンが
棘をなくしていく。
窓際で母親が
暖簾に刺繍をほどこしている。

、、


雨がやみ
どこかに隠れていた紋白蝶は
また鱗粉をふりまきはじめる、
失うために翻る、
道の向こうから少年は息を弾ませ、
風を捕まえて戻ってくる、
寝たきりのじいちゃんにやるんだ、と
また駆けだしていく、
母親はチラと時計に目をやり立ち上がる、散歩の時間だ、わふわふと犬が騒ぎだす、


ベランダから
白い半袖シャツが舞い上がる
すべての空に、


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