毛を舐める猫
どこといえば、
脇の皮だ、という。
(猫の好きなパーツ)
ちいさいちいさい頃から
多分たまごだった頃から
そうだったんだと熱弁を、
ふるう。ルールールー、
ド ソファ♭ラレ
ミ＃ソソ シド
ピアノの鍵盤を踏んでいく
確かな足取り。不協和音を
選んで、わたしの手元へと
擦り寄る。体温が好きだ、
触り心地が好きだ、匂いは
あまり好きじゃないよ。
フェルマータのような
ジャンプ、途切れる音。
残像を置いてゆけ、と
伸ばす伸びる腕、左腕。
ルールールー、ふるう。
そうだったんだと熱弁を、
多分たまごだった頃から
ちいさいちいさい頃から
(猫の好きなパーツ)
脇の皮だ、という。
どこといえば、
レースのカーテンの
はためく部屋の隅っこで、
毛を舐める猫。
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はなのかんむり
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