影のない犬




風がきゅるきゅると
ひざを撫でていく

遠くで子どもの泣きごえがする

にんげんの格好はきゅうくつで
日傘も
柑橘の香りも
水玉のワンピースも
わたしには似合わない

川原のどてに
背中をまるめて座りこむ
手あたりしだいに
草をちぎって 土にさわる
とても乾いた舌が跳ねる

よごれた指を嗅ぐと
犬が足元によってきた
ふぞろいの毛並みをさしだしたら
犬は ひゅうんと鳴いて
影をおとすのも忘れて
まっすぐ
まっすぐ
駆けていった






[編集]
[*前][次#]
返信する

はなのかんむり






















[掲示板ナビ]
☆無料で作成☆
[HP|ブログ|掲示板]
[簡単着せ替えHP]