cold.




冷たい石が積み重なって
風をとめる
石はますます冷たくなって
頑なになる

 少し 走ろうか

あたし達の指はきっと
断絶したがってる

ソーダ水のむこうがわに
発泡する空があったとして
葉は頷いて滴を垂らすのだろう
そのあと
誰も振りかえらない道の途中で
気付かれないように
そっと そっと
蒸発してゆくの

草の波に溺れて
いっぽんの木に掴まる
身に纏うものなど何も必要はなく
流してしまったよ
鋭い爪や へこんだ臍
捨ててしまえ 捨ててしまえよと
土は沸き立つ
あなたはかなしむかしら
ひとひらずつ落としていって
あたしは再び波のなかへかえる
鳥の影が 一瞬
ひかった

あ あーああ
聞こえますか?
休止符をうったあとの
楽譜のさきを
ずっと考えている
送電線にはスズメがとまって
あたらしい朝をうたっている
蟻の行列は祈りのような鈍行で
太陽の黒点まで続いていた

体現してほしいのだ
犬歯でも噛み切れない糸を
張り詰めた背骨を
大いに崩してほしい
そうして積み重なった糸と骨で
武器をつくろう
誰かをころすための
誰かをはらむための

弾んだ息の余韻が
まだ響く水溜まりのなかで
かなしみがぽつりと
ほほえんだ





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