このさき
自販機の前に
千切られている瞼。
風がはしる先に
転がりだす。
近くで踏切が鳴る、
赤い点滅は見えない。
遮断機はひらかれたままで、
その向こうには
いちめんに細い腕が
そよいでいる。
バッタが白線の上を跳ねる。
子供がいるから
翅は置いてきた。
疲れたら、
末端のほうで眠りにつく。
お腹が空いて
新しいレールをかじる。
奥歯が痛む。
隣の町に舌がある。どうか
忘れないで。
ヒマワリの葉が
いちまい、握られた。
夜行列車に忍び込み、
席に座る。
田園の中をはしっていた。
水に閉じこめられる
明かり。
呼吸のおとが
引き延ばされている。
そっと窓をあけた。
まばたきを忘れた空は
ひとしずくで錆びていく。
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はなのかんむり
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