かくれんぼ




カーテンをあたらしく
つけた窓に椛の葉が
こぼれて、ふるえている
網戸のほつれたぶぶんを撫でると
日の降る、色に肌がそまり
あたしはKitchen、と
はつおんする、檸檬をのせない舌で
はつおん、する
幾度か、もしくは幾度でも

かくれんぼをする
こどもたちにまぎれている影は
かくれんぼをしたことのない
あたしだった
おとこのこはしゃがんで
数をかぞえはじめて
みんないっせいに駆け出して
あたしはどうしたらいいのか分からず
慌ててかたちを変えて
外灯の影になる
草の茂み、滑り台の裏、けやきの木の幹、
つぎつぎと見つけられる
こども、こどもたちは
暮れていく空に
手を振り、かえっていく
あたしはいつまでも
見つけられない、影になって
はりついたまま
かえれないで
はつおんしようとする

Kitchen、

誰もいない窓際
椛の葉だけが、わらった






[編集]
[*前][次#]
返信する

はなのかんむり






















[掲示板ナビ]
☆無料で作成☆
[HP|ブログ|掲示板]
[簡単着せ替えHP]