眩しいため息




「Dry,and,fun!」

ぎらぎらに光る
工事現場の鈴木さんの額に
苺ジャムを投げつけたい
純度百パーセント、
そういうのを恋だって思ってた

 「Birthday.」

はっぴはっぴ、と
まわる洗濯機
今日は洗濯機の誕生日だ
一度まわしてみたかったという
夕暮れをつめこんであげた
じわりとこめかみを流れる汗
汗が落ちたら夜になる
まだ、もう少し待ってほしい
まだ、すすぎが残っている
白濁した町と洗濯機とわたしは
六年の歳月を共にした
(短かったな、)
台所では
洗濯機の彼女である冷蔵庫が
その歳月に嫉妬して
わたしは弁明に必死である
はっぴはっぴ、
洗濯機はずいぶん楽しそうだ

ふざけんな

 「Give me a ...」

まっしろいワンピースがほしい
という欲求を
どこに蹴ればよいのか
腰を据えたキーパーはどこにいるのか
たとえば母だったり父だったりの
にこやかな肌をめくれば
あらわれるのだろうか
それより気になることは
近すぎて顔の見えない審判が
鈴木さんの骨格によく似ているのだ
林檎どころじゃない
林檎飴みたいな顔になる
観覧席からの
罵倒と歓声
どうせなら爆竹ぐらい投げ込め
そうして芝生の上で
みんなで
ブレイクダンスを踊ろう

 「It's not love」

毛布にくるんだ柴犬を
カラッと揚げてしまえたらいいな
菜箸でやわらかく押したら
瞳から正体不明の液体が流れる
なんて、すてきだ
だけどきっと
だけど多分
それは恋じゃない、と
知っている
ずいぶん禁欲的だこと、
近所の奥さまは
マルチーズの味噌煮を抱えて
柴犬を散歩させているわたしを
せせらわらった

 「Sweet on the“good bye!”」

今日も鈴木さんは
とても素敵
わたしはさっそく
薬師寺さんちのビニールハウスに
苺を盗みにゆく
準備をする





[編集]
[*前][次#]
返信する

はなのかんむり






















[掲示板ナビ]
☆無料で作成☆
[HP|ブログ|掲示板]
[簡単着せ替えHP]