ア、雨
つまみあげた蛙を
食んでいる子どもたち
うわあ、と気持ち悪がる
ふりをして、女は口をあけた
画面のまえの
わたしには
サプリメントと水があって
それを飲めと
言い渡されている
白い食物以外は
不潔だから、食べないの
シロクマの皮膚は
マックロイから、わたし
みんな信じないって、きめたの
動物のあしあと図鑑をひろげて
じぶんのてと
すべてのあしあとと
タッチしてみる
そこからいのちなんかが
勝手にはじまっていったかもしれないし
もしくはおわらせていく
作業だったのかもしれなかった
空回りして、たまったエネルギーは
いつかりっぱな学者さんが発見して
発電やらにつかってくれるから
わたし達は何の心配もいらない
図鑑をとじる
ん、おいしい
女の顔がほころぶ
意外においしい！ これ
子どもたちは
オイシイヨオイシイヨ、と
口々に云う
画面のまえのわたしは
白い錠剤をいっきに流しこんだ
喉をとおり
食道をとおっていくのが
分かる
ア、雨
頭のうえに
図鑑のうえに
胃の中の寸断された蛙のうえに
白い錠剤のうえに
わずかな熱をもった、雨が
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はなのかんむり
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