風の谷で青い服を着た少女が桶屋を営む。




(机をはさんで、わたしとおんながいる)
(あたりはまっくらだ)
(舞台のうえのようにも、思える)

ふんふん、それで君はどこに住んでるの?
 風の谷です
え?
 風の谷です
ふ、うっヴん、ケホ、失礼
で、全身青い服だけど、それは何故?
 今わらいました?
や、わらってなんかないさ
 …まあいいですけど
 青い服なのは青い服しかないからですよ
「ない」って、買えばいいんじゃないの?
 あはは、よくそんな夢のないこと云えますね
君はきもちよくわらうねえ
はは、夢がない、か
 ええあんまりにも夢がないですよ
 まあ、わたしは少女なので夢を所持してますけどね
ほお、それは素晴らしいな
 ええ素晴らしいんです
で、どんな夢だい?
 桶屋を営むことです
んん、桶屋かい?
 桶屋です
それは全く何故?
 風の谷では儲かるんです
そうかなあ
 風が吹けば桶屋が儲かる、そういう風になっているんです
 間違いありません
でも儲かるって、それこそ夢がないんじゃないの?
 それは云わない約束でしょう
そうか、すまん

(ちゃぷん、と音)
(眼のまえが明るい、)

窓際で妻がちいさくなって桶に浸かっている
縁に青いワンピースがかかっており
私が顔を近づけると吐いた息で裾が、揺れた
(青い、)
後ろ向きのままの妻が
ねえあなた、わたし久しぶりに夢をみたのよと
おかしそうにわらった






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はなのかんむり






















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