いつも少し悲しい




二度と起きられないけれど、
眠るのがすきな
わけじゃないんだって、
おぼえておいてね、と
あの子はやわらかく
目を開けて、また、閉じた

 ○

庭には沈丁花が
ほころびはじめたけれど
彼らはさいしょから
むすばってなかったんだって

 ○

黒いひつじの赤ちゃんが
べええ、と鳴いて
8つめの海を泳いでいる
ひつじのお母さんは
服を脱いでから泳ぎなさいと
浜辺で砂を掘っている
ぬれたつまさき

 ○

雛菊の匂うあの子のとなりを
恋だっていうなら
山はどこにあったのだろう

 ○

きみどりのワンピースを
蛙みたいだと
クスクス、されて
できるだけ四角い石を
蹴りながら帰った
帰り道の途中
いつも少し悲しい
自動販売機で、すこやかな
飲料を買う


[編集]
[*前][次#]
返信する

はなのかんむり






















[掲示板ナビ]
☆無料で作成☆
[HP|ブログ|掲示板]
[簡単着せ替えHP]