輪郭




蜘蛛の糸にからまった
とんぼの翅が揺れている
しおからい風は庭に
しみわたりそして消えていく
喉がざらついて水を
のみたいという
星たちは空で
しくしくしている

門限は午前四時で
夜明け前には玄関のまえに
うずくまる
やさしいおじいちゃんは
ほんとうに空と変わらないパジャマを着て
ふるえる手のなかから
塩飴をさしだした
うわああ手品みたいと
わたしはよろこんで
ひょいと舐めた
白昼のあじがする

おかあさんにそのことをはなしたらそのおじいちゃんはもういないひとなのよというのだけれどだったとしたらわたしもいないひとなのかもしれなかった

遮光カーテンをした部屋に戻ると
こうこうと蛍光灯がもえて
肌はすこし健康的ないろになる
壁には父が描いてくれた
わたしの似顔絵がいくつも
かざってあって背景は
いつも雨だけれど輪郭の消える
ことはないんだよしんだって
それはかわらないんだよって
わらっている







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はなのかんむり






















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