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[1] 六三郎は自分の座敷へ
By Ryou
01-04 23:19
 六三郎は自分の座敷へしょんぼりと帰って来ました。田舎にしては広い宿屋で、六三郎の座敷は南向きの縁側を前にしていたそうです。旧暦の八月ももう半ば過ぎで、日のうちはまだちっと暑いようですけれども、広い家の隅々や庭の木の蔭などは、昼間でもなんとなく冷やりとして、縁の下では頻りにこおろぎが鳴いていました。一つ座敷にいる広助という頓狂な半道役者は、うしろの森へ虫を捕りに行って留守でした。六三郎は縁側の柱にもたれて、庭の鶏頭の紅い花をじっとながめていましたが、いつか袂を顔にあてて、女の児のようにしくしく泣き出しました。どうで自分もいつまでもこの土地にいられる身の上ではない、おそくももう四、五日のうちにはここを立ち退かなければならないということは、最初から無論に承知しているんですが、その四、五日のあいだでもお初に逢えるだけ逢いたいと思っているところを、無理に堰かれようとするのですから、悲しいのも道理です。六三郎はまだ十六ですからねえ。
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