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[1] いつまでも同じことを
By Ryou
03-07 02:17
いつまでも同じことを繰り返していても果てしがないので、藤次郎は念のためにもう一度、大木戸まで引っ返してみることになった。この押し問答のうちに、近所の家でもだんだんに店をあけ始めたので、お国はもう寝てはいられなくなって、次八と一緒に店の戸をあけ放した。お国は寝道具を片付ける。次八は表を掃く。そのあいだにも一種の不安がお国の胸を陰らせた。平七はともあれ、ふだんから義理堅い質《たち》の庄五郎が約束の道連れを置き去りにして行く筈がない。これには何かの仔細がなければならないと彼女は思った。
「庄さんはどうしましたえ」と、平七がぼんやりした顔で尋ねて来た。
「あら、平さん。おまえさん、今までどこにいたの」と、お国はすぐに訊《き》いた。「内の人に逢いましたかえ」
「いや、庄さんにも藤さんにも逢わねえ」
「さっきこの戸を叩いて、内の人を呼んだのはお前さんでしょう」
「むむ」と、平七はうなずいた。「出がけにここの門《かど》を叩いたら、庄さんはもう出たというから、すぐに大木戸へ行ってみると、まだ誰も来ていねえのさ。夜は明けねえし、犬は吠えやがる。ネットビジネス 副業 副業ランキング
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