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[1] 刑事時代からの口癖
By Ryou
09-04 02:36
と、課長は、刑事時代からの口癖になっている言葉を、口の中でいってみた。ぽたりと微かな音がした。茶色の液の玉が空白の頁の上に盛上って一つ。課長は大湯呑を目よりも上にあげて、湯呑の尻を観察した。それからその尻を太い指でそっと撫でてみた。指先は茶色の液ですこし濡れた。課長はすこし周章てて茶碗を下に置きかけたが、机に貼りつめている緑色の羅紗の上へ置きかけて急にそれをやめ、大湯呑は硯箱の蓋の上に置かれた。
課長の仕事は、まだ終っていなかった。事件引継簿の頁の上にはげんのしょうこの液の玉が盛上っていた。課長は、机の引出から赤い吸取紙を出して、茶色の水玉の上に置いた。吸取紙は丸く濡れた。その吸取紙を課長が取ってみると、帳簿の上の水玉は跡片なく消え失せていた。課長の当面の仕事は終った。
おれの次の仕事は、何時になったら出来てくるのであろうか――と、課長は背のびをしながら、両手を頭の後に組んだ。
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