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[1] いったいキャプテンは
By Ryou
11-28 00:51
「いったいキャプテンは、何にしに夜中になぞ、ヨットへ乗るんですか?」
「ただ帆走り廻られるだけです。あれが、キャプテンの御趣味なんです」
「結構な御趣味ですね」
東屋氏は皮肉に笑いながら、今度はヨットの中へ乗り込んだ。
「君、警察官が来るまでは、余り現場に触れないほうがいいんだよ」
けれども彼は私の忠告などには耳もかさず、大童になってあれこれと船中を物色していたが、やがて檣柱の側へ近附くと、大檣帆の裾の一部を指でこすりながら、
「血が着いているよ。やっぱり深谷氏は、このヨットの中で殺されたんだな」
私も東屋氏の言葉につい動かされて、近附いて見た。成る程紅白だんだら縞のところに血痕らしい飛沫の痕がある。東屋氏は一層乗気になってヨットの床を調べはじめたが、やがて今度は狭い棧の間から、硝子瓶の缺らしいものを拾い上げて私に見せた。で私は、
「やっぱり兇器は、ビール瓶だろう」
すると彼は私の肩を叩きながら、
「駄目だよ先生、これをビール瓶だなんて云っちゃあ。こいつは海流瓶だよ、まあビール瓶とよく似ているがね。この中へ葉書やカードを密封して、人目につきやすいように、ほら、外側をこんな風にエナメルで着色して、海流の方向速度等を知るために、海の中へ投げ込む原始的な漂流手段だよ」
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