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シャクティ、ぺろVer。
By 柴乃ぺろ。
09-08 17:52
シャクティ

著者、橘 鷲聖
朗読、柴乃ぺろ。

窓辺に向かう途中で
おまえが無意識に触れた鍵盤の音が
いつまでも
雷光に確かめたシルエットは
後ろ姿だったか
それとも
どうでも良かったんだが
俺も雷鳴の唸りに併せ
華奢な肩ごしまで歩を詰める
硝子を伝う雨
ここが何階か忘れたが
眼下のネオンが滲むだけの光景
べつにムードは無い
それより
思いでばかりが
心をよぎる
失ってきたものばかりが
伝う
だから俺は
髪を掬おうとして
気づかない横顔に戸惑う
このひどい雨に
出掛けようかと切り出した言葉の憂い
なんて静かに
懐に抱きついてみせたおまえに
また戸惑い
どうして思いでばかりが
伝う
温もりを確かめ合わなければ
どうにかなりそうなのかもしれない
こんな時
この滲む向こう側を支配したようにしか
おまえを愛せないことが悲しいと
云えない
耳元に寄せた唇は
囁かない吐息
目を瞑るとあの音階が
まだ
続いている
ふと
記憶のなかで
喧噪のように渦巻いていた轟音が
潮騒かもしれない
と思った
激痛が引いたような穏やかさが満ち
おまえのからだを
いま確かに
抱いていた
やさしく引き離した
おまえの蒼白の美貌に
硝子の伝う雨が投影している


動画 910SH
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夏音
By min
09-08 12:25
身体中の夏を零しながら、どこまで君とあたしは行かれるだろうね、

理解と時間との途方もない距離を思うときプリティ・ヴェイカントは場違いなノイズでしかない。イヤフォンを片方、君に

ほら、車窓が一本の黄色い線みたいに、見えるよ、
あたしはあの日砂浜に掻いた約束とビーチパラソル、それから濃緑のガラス壜を思い出している。

高架下に二人、しゃがんで、零した夏を拾い、集めて、そうして夜明けの列車を待ちます。
イヤフォンからは潮騒のような、ノイズ

膨張と弛緩とを果てなく続ける記憶を思うとき手を伸ばしても波に触れることはできないのだと知る。どこまで行かれるだろう君、と、あたし、

パンタグラフが火花を散らして、水紅色の雲を焦がした、夜明け
動画 911SH
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By 美途
09-04 14:52
 

まだ濡れた翼は
たったひとりで飛ぶには幼すぎた

自分とか 意地とかを
抱えることが若さだけれど
大切なものに振り向けないのは
子供ゆえの浅さです

やわらかな羽は
目の前の理想ばかりを求めて
くるくると行ったり来たり
それは空想世界
“空”には違いないけれど
あの頃は気付けなかったのです

まだ濡れた翼は
たったひとりで飛ぶには幼すぎて
くじけて帰ったとき
笑顔で迎えてくれたあなたの
両の手の大きく広いこと
包まれているあたたかさを
知ることはできませんでした

 
 

動画 P901i
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かえらぬ夢
By 双葉月ありあ
09-02 20:54
わたしはあの時微笑んでいた、の。
乳白のまるい液体に浮かんで、
たぷぅ、たぷ、たぷぅ、
時計の進むのは、きっと
亜光速の世界よりも遅かったんじゃなかろうか。
 
すべては正しかったの。
そう、
何事も ゆるされていた、からね。
 
はちみつ色したお月さん、あっちでわらってるよ。
むかしはわたしもあそこに居たのにね、
今じゃあ手も届かないなんて
 
ねぇ、なんでなんだろね、
 
ね。


動画 910SH
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By 水ノ森 いお。
09-02 13:16

りんご甘そうで、
きみは眠そうで。
とろり、とろり、
朝、だよ、って。
(ねぇ、おきてんの、)
あたし、上目づかい。
虎視眈々。
ほんとはきみも、甘そうで。

(おきて、る?)
問いかけに微笑みの謎ひとつ、残してゆくから、
夢、覗いてみたい、
なんて、
俯せ、頬杖、空いた手でほっぺたつまんでみたり。

蜂蜜みたいだ、
琥珀色の。
ご機嫌なお月様とおんなじなのね。
とろり、とろり、
ふわり、してる。
掴めそうで、掴め、ない、な。
くすぐっちゃおうか。

りんご甘そうで、
きみも、甘そうで
あたし、ひとり、おいてけぼり。
すねてたら、不意打ち、
釦、羽衣、指先、
お魚。
(やだよ、やだ、やだ、)
だめ、なんて、
かじるよりかじられるほうが甘いこと、
気付いてしまった。
そんなのって、狡い。

りんごの匂いにごまかされそうです、
時計が刻む流水は澱まないって。
空は未だ明け切らなくて、
やっぱりきみは、眠そうで。
(ああ、あ。
また、寝ちゃった、の、ね)
小さな四角にきみ閉じ込めて、
時間停めた、つもり、
にて、満足の、つもり。
きみの隣にもぐりこむ、しあわせ。
ためいき。

りんご甘そうで、
りんご甘そうで、
甘そう、で。
俯せ、
はらぺこ
はだかんぼ、
はんぶんこ。
きみの肩口のまろみの方が甘そうだったって、
それは内緒、
なんだけど。

ねぇ、テレビがついていたよね、
嫌いなアイツが我が物顔でさ。
ようやく明るくなった部屋に、
まんぞくのお腹とりんごの匂いときみと、
それから丸まったおふとん。
これこそ、完璧な朝のありようだって、
あたし、
そう思ったのにさ、

甘そうなきみは、
やっぱり甘くて、甘くて、
結局またすぐに、
お腹すいちゃったんだ。


動画 810SH
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