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カデンツァ
 ルイーノ
 
それは水の器
指先を沈め
ちいさな声で呼ぶ
波紋の輪を降らせる

繋がり
結びあいに震え
境界を踏み越えた
輪郭の重なりたちは澄み
黒檀は目醒める
おびただしい沈黙は
しなやかな予感が魅了し
和音の鼓動する寝室で
誘われ滝を滑り落ちる

記して
細い指での愛撫を
情熱に達せれば
視界は鳥肌が弾けさせる
耳を刺してゆく高域には
月までの旅行を隠した
水面に浮かべた舟からは
星の粉たちが寄り添う
つめたい旅出をあげよう

突き抜けた共鳴へと
カデンツァは夜を溶け合う
消えないで
織り重なる願いよ
叩きつける残酷は不滅だ
心臓の牢を響き渡り
強い酒を舐めた
遠い眩暈を知った
嵐にも似た恍惚には
この背中信じてくれ
目を離さず
俺は今
天の梯子を描いている

飴のように絡み合う
細いビーズが零れるのを
きみは両手に掬っていた
俺はくちづけ
青白く
染まっていった東雲が
また沈んでゆくのを見た




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