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ペル名
 瓜田タカヤ

現象でくらいそうになる
にじけた光線をぬるりとした衣服にねじ込み
固まっていく木ねじを肉ビデオに録画した

いつでも愛玩ベクトルで
小鳥の影腹切り込んで
圧迫感あるくらいで
天使デパートに分身だけ入れ込んだ

人間的にもペル名で
意識の縁からモールス式に
不自然な潤滑油 戸板を伝って空気を冷やす

表膜までなら 漁り火焚くん 
退行的な糸 たらしこみ
飲でるアルコールを
アルコルに変えるん
お酒 好きなん!
知らない漁師たちと
俺の無意味さが
お酒好きなん!
て言わせる
俺の無意識さが!
お酒いやなん


おぼつかない平衡感覚は
白い表紙に白濁を散らし
触覚のない巨大は毎日のままに

無差別に接近と通過をループし
ラブリンモンロー式の
長細いクダを拉いで行った
幸福の日々

俺のペル名は
未だに下半身までにしか
許可されていない



カメラ下がれ!





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無題
 ちよこ

「余計なこと」

新しく揃いはじめた前髪の
律儀に透ける肌触りは
今まさに泣きやんだ少年
その掌から降りてくる音を
ひとつなぎずつ
通していく途中で

全てが円くできていればいいのに
悲しいはいつもひたむきで
今朝の
陽のひかり
なだらかな
つむじかぜの途中
ちらちらと
合唱をまきちらしながら
宙へと巻き戻る

それでもどうしたって
誰かが悲しいなんて
力をこめて
目を
閉じること


「無題」

ずいぶんと
不思議だったり
こわいような
よるのおもさ
夕日はしずんていくのに
うまれるまえの
色ににていて
さしだされた
あさのひかり
正午のそらは
わたしたちに何も見せてくれはしない
それから
ただ
おもうこと
本当に
ずいぶんと
触れあって
絡まりあって
見えないくらいに幼い
光飽和のなか
確かに
ほどけなくなること
そうやって
どうやって
正しくいきて行くこと


「会話 」

濃く投げ出された色と
淡い左手の色と
土の海のあたたかさ
まどろんでいて
口のなか
いっぱいに含んだ
ひとつずつは
神様
本物が分からない

私を込めた真夏の
触れたら弾ける
つぶつぶの雲のもっと
もっともっとは
おちてきそうなまっさらな空
みぎ
ひだり
みぎ
真ん中はどこいったって
ほら
編みこまれてく
みちとみちは
どこにもいかないって
控え目な滑らかさで
肩に降りてきていった

ひどいひかりのにおいがして
はじめて降ってきた雨の
理由なんて
それからふつりと
鼻はきかなくなって
鼓膜の波の
とぶような調節
そしたら
きみはなんていったっけ


ねえ
まだまだ
易しいことばで
話していようよ


「あめ、さくら」

まるで、遠ざかるようにしか手をのばせない。必死に掴みながら全て悟った、空のもと。(あれは涙です)(おしまい)(おしまい)(おしまい)大きすぎる世界。僕たちは思い出をかきあつめて、出来上がってゆく。(暖色の風)僕らは、思い出の塊です。(そうして、雨は上がります)からっぽのまま、一生懸命に空のもと。段々と、(息苦しさ)薄まってゆきます。盲はいつか。確かに、いる。泣きながら眺めたあの花を、綺麗だと思えたなら。

永遠は、あの花たちが知っています。







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気の近くなる人
 ピクルス

夜のうちに散らかった灰を片付ける
紙屑に繰り返し書かれた名前は
折れたスプーンの歌を呟くと
謝りながら消えました
頭痛の速度で焼けてゆく朝の近くに
ひかりのはな
未だ、瞬きが沈んでいる

枯れた葉脈がいとおしい
冬の朝に麦茶を探して諦める
硬い水の魚達のまどろみ
水面に花が落ちる
あれからどのくらい
これからどのくらい

佇む人は、みな無口です
その垂れた首は涼しい色をしています
知らない間に黒板に名前を書かれて
主語を喪くします
欠けた耳、澄ませば水音の向こうに
勝ち誇った誰かの笑い声が通り過ぎる

鉄塔に刺さった夕陽の色は
淋しい窓という窓に自惚れを映す
暮れてゆく古い街並み、その翳は
ふくろうの翼に似ています
助かりたいと思うなら黙ったりしないだろう彼女も彼も
あれからどのくらい
これからどのくらい

まづしくても安い酒を買う
天井の木目から咲く花は
端から端まで水で縁取られている
魚達が眼を瞑るから
ようよう夜を迎えることができる
タオルの端を握っていないと眠れない掌です
すぐに覚めてしまう夢だけが起きている夜です
あれからどのくらい
これからどのくらい

骨なんかなかったように
骨なんかなかった

(未発表作品集「noom caribbean」より)




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