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雨、逃げ出したあと
 藤井柚子

わたしは
消えてしまった光をのみこんでおちてゆくので
海へとかえってしまう
小さな夢が微笑みながらわたしのほうに歩いてきて
わたしは
夢の続きへとはいっていかなくてはならない

(教室では先生が小さな精霊を撫でている
 夕暮れのせいだ
 夜になるのがこわいので走らなければならない
 わたしは
 校舎を
 とおくから音がする
 生きていたひとたちがそっと並び待っている
 おと おと おと
 窓の外は白くなって
 今はふゆなんだと確認したからといって
 どこからが雪でどこまでがわたしなのかは
 わからない
 さむい
 さむいよ)耳の奥で猫の声がする
 こぽこぽ溢れだした先生はもう見えなくなった
 学校ってこわいな
 こわい
 教室のなかには水がなく 溺れている人も
 いない 今は
 飛び込む水もない
 流れていかないでよ、先生、流れていかないで
    いかないで )

 あ、 ねえ、 ほら
また猫がないたでしょう
今度は少し遠いね
終わってしまうと不思議と何の違和感もなく
わたしはひとつの光のようになりたかっただけ
    なんだって
知らない人には教えない
大切な秘密
教室に忘れてきてしまった光はすぐにちらばって
わたしは裂け目を探さなければならないの
遅れてきたチャイム
どこにいけばいいのかなんてわからないって
先生がわたしに内緒で教えてくれた
これはふたりだけの秘密
夢の続き
水の音 とぷん
夢の続きに

さよならしてる


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寂しい織物―四つの破片
 前田ふむふむ

1.永遠の序章

(総論)
一人の少女が白い股から、鮮血を流してゆく、
夕暮れに、
今日も一つの真珠を、老女は丁寧に外してゆく。
それは来るべき季節への練習として、
周到に用意されているのだ。
人間の決められた運命として。

  ・・・・・・・

(各論)
眠らない艶かしい都会の、世界中の暗い窓の中で、いっせいに女の股が開かれて、混沌とした秩序を宥める、雌羊が血走った角膜の内部から声を上げる頃、一人の老婆が朦朧とした手付きで、毛糸を編む。長すぎた過去を焼却場の前の広場に、山積みにして決して燃やさない、苛烈な思い出は、豪雨に打たれて、爛れた皮膚をさらしても、老婆の編む毛糸の中に溶けて、固められてゆく。静かに重々しく時を刻む夜が、小声で永遠を跨いでゆく。

思惟の海の灯台よ。
    老婆の手を、閃光で照らせよ。


2・春の夢―幻影

遠い春が朦朧とした幻想にめざめる。
うすきみどりの季節を咲かせて、
気まぐれに魅せる一片の淡い輝きが走る。
小川の蛙が鳴き声をとめる刹那、
季節が洗脳した清々しさとポツンとした不安の空隙で、
霞のような花吹雪の闇のなかを、
静かに歩む美しい娘が、朝の声を浴びると、
ひかりのなかに透けていく。

儚く、切なく、眩いみずいろの音階を、溢れさせる、
やわらかい朝のひたいが、
一瞬の微熱によって、
空から透明なブランコをつくり出す。
春の萌える息吹が、美しい娘を持ち上げて、大きな弧を描いて、
風に揺れるスカートが地面を覆った。
  わたしは花を産めるわ――
  わたしは虫を産めるわ――
だから、わたしはあなたの狂妄する情熱も産めたわ――

遥か山々からこだまする遠い声が、
美しい娘の涙と混ざり合い、
水滴となって気丈な葉の上に弾けた。
春の下半身が風のような揺らぐ湖面にひたると、
花々と美しい娘とはいっせいに発光していく。
花々は春に肉体を委ねる対流をおこして、
夥しく散乱して、
春の純白のなかで渦を巻いて、消えていく。
美しい娘は、震える小鳥に身を纏い、みどりの鳥瞰図に、
春の微粒子を振り撒きつづけて、
遥か、紺碧のカンパスの群に、白い肌を隠してゆく。

わたしは、しばらく夢の眺望に浸ると、
瞳孔の底には、只の荒れた地平が陽を浴びているだけだ。
あれは幻影。
わずかなときの驟雨に消されて、
垂直を描く、蒼白い若芽の履歴が流れてゆく。
ああ、懐かしい春の夢よ、――
諦めを見つめるひとみの奥を、こころの領土で風化した、
ひかりの夕立が降りそそいだのだ。
わたしのこぼした感嘆を、名もない鳥が咥えてゆき、
冬の灌木の裂け目に、凍る太陽が悲しく没した。

( 遥かむかしに見ただろう。

忘却の空に封印した、枯葉のような春が甦る。


3・孤独な居間にて―

コーヒーの香りが、居間の空気に広がり、
その一部が直滑降を行く。
ジェットコースターの速さで、
窓辺の朝陽に溶け込んでゆく。
その、爽やかさに、わたしのなかで時間の鼓動が一瞬だけ輝く。
木製の食器棚の上の古い写真のなかの無彩色のわたしが、
無彩色のコートを着て、無彩色の空に溶け込んでゆく。
写真を見ている時間だけ、世界が止まっている。
テーブルには、わたししか電話番号を知らない、
携帯電話が置いてある。
誰からも掛かって来ない携帯電話が置いてある。
今日の真夜中に、一人の幽霊が、
誰からも掛かって来ない携帯電話が鳴るのを、
じっと待っていた。
灰色のガウンを羽織った幽霊がうっすら微笑みながら、
じっと待っていた。
居間には、氷のような時間が、静かに流れていた。
小鳥が朝陽を持って来るまで。

   4.夜

夜空に懸命に駆け昇った星たちは
金色の微笑を浮かべ、愛の歌を爪弾いている。
その星に隠れながら、
別の星は銀色の涙を流す
その美しさは、陳腐な地上の瓦礫を、
幾千万の星の洪水で
押し流してしまうだろう。
わたしは原っぱに仰向けに寝て、
朔太郎の詩を黙読しながら、
この夜と抱擁する。
ああ、この心臓の温かさは、
夜が確かに呼吸しているからだろう。

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おぼろげ猫
 今田コボ
 
光り飛び散る水滴の まとわりつく熱気に噎せて
白々しい空気と 男達の死体
喪失感の塊に 押し潰されそうになる
わたしは関わる者達の幸福を奪い
そんな自分を慰めるわけでなく
存在している自分について 考えているわけでもなく
彷徨う猫の事だけを思って生きるのも
たまにはいい

受ける悲しみの 最たる物を知った上でも
諦めの言葉を言う事ができない
わたしひとりでは どうにもならない躰を
自分だけのものにしようとしていて
納める物を取り入れる間も無く
今にも食べ尽してしまいそうな
餌の容器を じっと見つめているだけ
それだけでも 身が満たされているというのに
これからはどんな風に 育てていけばよいのだろう

項垂れた背中に当たる 夕日の輝きに映えて
目線の矢から射られる 生との葛藤に
締めつけ奪われていく日々は 淋しいひとりの朝に憶えた
見上げた空 閉じかける瞳に
不安を掻き混ぜ そっと 飲み込んであげた


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静かな人へ
 黒田みぎ

光がきみから離れていった夜のはなしをしよう。それは煙が濃くなり壁となった夜、女が川にやってきたあの日のこと(――あれは少女の涙だったのかもしれない」
冬が終わればおしまい、降る雪で光が見えなくなってしまえばいい(雪がみたい ゆき)飛んでいくものばかりだから僕も何処かに。忘れられる夜には小さな魚を渡そう。流れる永遠、ぼくはあたらしいせかいのひかりなのだ
そこは彼のいないせかい、
それでもよかったといえるのか」
夜明け前 光は飛ぶものだから空が怒るのでしょうと 女は橋の上で光を裂きはじめる。落ちる光の音を橋は避け、だれもかわりにはならない。だれもかわれるはずもない。(――どうして、なんて―――わかっているくせに」

ゆびで星と星とを繋げたあと、僕は風の強い日の独立を禁止した。いつかと同じ、夜中に光は事故となってかえってくるのだから、そのあとは飛び散るだけ、腐っている誰かの右手に着地するための光になる。僕は悲しいと呟いた。
何時だってそうだろう。
それが同時であろうと、掬われるのが左手になるだけで、何もかわりはしない光。泳いでいる魚たちを燃やすのは太陽。きみの目指すものは永遠の海。
誰かの歓喜を背に、僕は亡霊から死の囁きを、橋のしたに灰色の波紋が描かれて、神様は一枚、また一枚とめくられていく。
風が僕を吹きつけた
消え失せるものを追いかけぬ自分の愚かさが憎い、夜明けを待ち震えるきみは太陽を知っているのだろうか、餓えている(――何に)・・・寒い日だ。誰もが秋の日を忘れ、明けた朝のことを夢見ている。夜明けだけは等しい、なんて幻想を。繰り返し眠りにつき沈んでは浮かぶ、終わらぬ夜に 光はきみから離れて―

「 かれは秋が苦手という、彼女は冬が苦手、ついこのあいだまでは目の前で魚が泳いでいたのですが、かれはまだ神様をお見かけしたことはない。お見かけしたことはないと」――ぼくたちは考える、永遠についてのひとつ、ふたつを。太陽が忘れていくものがあります、月が置いていくものがあります。それは、なに、」(彼女の青いからだには神様の血が流れる、(神様、)真紅の、)――たとえば、彼女の名は消えてゆくものです、それは落ちるものではなく。かれの名はそこにはありません、落ちるものです、それは」
――ひかりの子、それは神様の意志、そう聞くたびにぼくは毒を飲むことになる。神さま、神さま、彼女の星をぼくの手に、静かな夜に開いた扉で白い亡霊たちがぼくより空へと飛び立って行くのです。(浮遊するすべての魚が、真夜中へと歩いていくのを見たのだ。きみには光はない。意志、――誰の…、――ああ、その光を飲み干して、ぼくはあなたに拒まれることを期待しているのです…」

(かれは朝を待たず、さかなたちを溺れさせようとしたことがあります。少女はさかなにいくつか歌を教えていたのですが、彼女らはその歌をかれに教えようとしませんでした。「少女が目覚めたとき、隣に眠るのがさかなでなくぼくだとすれば、」 かれはよく、そう言っていました。(しかしそうするとかれの精神はさかなよりもより深く眠り続けることになってしまうのですが、」
――かれがどれほど少女を望もうと、かれはいつか橋から離れて行くものです。遠くへと離れたものに少女は訪れてはくれません。それはぼくにも言えること。また、かれもそれを知っているでしょう。神様の一秒、その時、ぼくたちの頭上ではさかなたちが自由を求めて泳ぎ、少しでも、彼女はぼくたちに祈りをささげてくれるでしょうか。きみは捕まえたはずの彼女の指から転げ落ち、沈めたさかなに見られながら落ちていくことになるとわかっていながら」

(孤独の魚が僕を追う 僕は少女を追いかける (誰もが長いあいだに流されて) ぼくはいくつもの夜を少女とふたり ひとつの夜が終わればまた新しい夜が
 繰り返し 繰り返し
(枯れていく緑を哀れに思い川へと流せば魚がその孤独を食べてしまう それはいつかの終末のかたち (僕は指先を垂らして)
永遠、永遠、えいえんてなんだ
探した星の名前も、古い夜の名前も忘れ、ただ川の流れる音だけが頭のなかに渦巻いて、誰かの絶望が太陽の沈む方向へと消えてゆく。果てのない、闇のなかに、
僕は忘れてしまった
きみの名前を 僕の名前を
哀れ 哀れなものは すべてに

 ああ 教えてほしい 白い霧に隠れて逃げていくきみの速度を、流れていく水は何処にいくのだろう 色のない水に泳ぐ魚は孤独だと云う。渡された孤独を僕は少しだけ舐めたあと、七日降り続いた雨が忘れられる頃にまた 不機嫌な少女の顔を見上げ 結ばれた星と星とを永遠と呼んでやった
(どうだろう、この永遠の姿は)
昨日沈んでしまった太陽のことを誰も知らない。遠くのやさしい少女のまぼろしをみて、星の海へと飛んでいってしまったあの魚を、消えていった波を追いかけていた太陽のことも、すべて、
忘れてしまっていた

 秋の終わりに降った雨は少女のからだを震えさせ 魚はまた何処か遠くへと流れていった
 どうか 春になるまでには救われぬものかと(光を求めている(偽りでもいい/それは 彼方に) ひとり 冬の夢から逃れることもかなわずに ただ深く 少女の眠りすらわからぬ彼は海底よりじっと少女を見つめ、それが二度目の眠りだということも、何も知らぬまま ただひとつ
失った孤独を探そうと
死んでいく魚たちのたましいを
追いかけ続けている

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メノウ
 イシダユーリ

開放感カンチガイ
それは感傷からきてる
一歩一歩
ワイルドだねそれ
つまるところ
機械的に上昇して
崩れる
カタルシス感じるのは
どこだ
崩れる瞬間
崩れるのを見る瞬間
崩れた部品がソートされる
ぞくぞくする皮膚
機械的に上昇する
長期的にずれていく
太陽みたいだ
馬鹿らしいところまで
行けると
思ったらいいよ
カンチガイ
両手をあげて
機械的に上昇して崩れる
機械的に上昇して崩れる
錠前って言葉の響きが好きな
わたしのイトコを
迎えにいった
ハレーション
エクスプロージョン
全部のガムには
どうぞ名前を
きまって別々の名前を
ハレーション
エクスプロージョン
わたしのイトコ
帰っていった
遊覧船に乗って
ソートされなかった部品の
凸凹について
考えていたカンチガイ開放感
若いままいたら天使になれる
羽根がはえていつも
万博でみたリニアモーターカー
みたいに土からちょっと離れて
生きていける
ちがう生きなくてよくなる
天使になりたいようって
スーパーでは
鶏肉が騒がしい
カンチガイ
君は鶏肉だったんだね
生きなくてよくなるよ
よかったね
パーティ
山に登る
パーティ
クラッカーの
残骸を
残らず拾って
パーティ
目見えなくなるふり
生きなくてよくなるふり
パーティ
天使があの人たちみんなの
おっぱいをいつも支えてくれて
パーティ
うんざりカンチガイ
天使はいきり立つ
いきり立って
いきり立って
ワイルドだね
一歩一歩
生きなくてよくなる
細っこいナイフみたいに
いきり立って
パーティに
のみこまれちまえ

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白梅
 ピクルス
 
かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいました

家族、いなくなる為に準備をして
汚れた服を着るほかないのなら
いぶかしそうな視線に
それでも
違います、とは云えぬまま静かに会釈をして

手に入れた人は語り始める
喪った人は黙り込む
この人でしょうか
その人ではありません
手紙には感謝の言葉ばかりが並んでいたそうです

前髪に月が触れる帰り道
給水塔には鳥の神様がいらして
遠くの河を覗き込んでは
死ぬるよりマシだ、と呟かれた
そういうふうに出来ている

かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいますか

笑ってる写真には見えない水が巡る
重なった祈りは唇から黒髪から滑るように溢れ
数を忘れた指先から散りゆく鳥達の色
綻び始めた春の星空に
安心したように灯りを消して
また、ひとひら浮かべては
未だ、触れられずにいる
たくさん謝って、こどもになった人達は
夢の中で
おかあさんの掌を探します
滲んだ溜息の最初からおしまいまでが
いっせいに、いっせいに許されてゆく

かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいたとしても
 


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青い虫
 クロラ

今日部屋に一匹の青い虫がいて
鱗粉を床に降らせながらゆっくりと宙を飛んでいる
あなたはそれを見つづけていて
そのことをあなた以外に誰も知らない

泉は水道の水をシンクから零すことを止めず
あなたの床はもう水浸しだ
あなたは床に寝そべっていて、目の先に伸びていく部屋は
木の目地を継ぎ足しながら拡がっている

だから私はあなたの部屋にいつまでも継ぎ足されない
どんなか細い光でも執拗に反射しきらめくほど
濃い液体になる粉と水を
沢山たたえたまま暮れてしまう

やがて水は隣室まで行き
埃や垢をすべて飲みこみ
窓から庭へあふれるけれど
少しの土や草を濡らしてすぐ乾ききってしまう


(詩集「いちゃつき」詩学社 収録予定)

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柔らかな今朝の神話
 焼石二水

それは
捏造された今朝の神話の
第七番目の大陸だと言う、。大地が
陽に暖められる正午になると
水平線に揺らいでは
まだ地に着かぬ足を払って
遺跡を携えるのだと言う、。隔週で
人を失って行く生活と
その燃えるゴミと
燃えないゴミの
楔形の
読み上げられない週末の

((楽しげな声/含むことなく))

曜日を忘れない人々の影が
膝を抱えている、。青い
ポリバケツの中で(点々と
収集を待つ
遠く
((新聞配達の排気音/躊躇わず))

近付いて来る
この朝を抜けても
また誰かに組し
抱かれる「雑踏の西暦」は静かに
息を潜めて、。
夕べ
修正を入れた部分で
乾かないまま熱を持つ

柔らかな))
アスファルトがゴム臭いのは
柔らかな))
靴底だからだろうか、。私の
爪先は揺らいでいる
もう
正午が近い

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フィギュアリンク
 浅田真歩
 
風の口をわたしは閉じた
眠りのなかで糸を垂らし、あの男に似た背の低い木を釣り上げる。昨夜とは違う階段を数え、見知らぬ景色は冷たい床に触れた 閉ざされた扉の向こうでは子供が泣いている 早くに眠ってしまった子、彼は孤独な目をしてわたしをみる(孤独とは、 冷たい裸、風をひきずる、深くに沈んだ星 遠ざかるもの)真夜中に魚は流れ 浅いところから海へと旅立つ あの子が足元からわたしを満たし 誰もが明日、そこにいないことを知っている「 わたし 眠るのがこわい。(夜が明けて目覚めることがこわくてしかたない。」薄く目を開けると知らない魚が流れていって、わたしは嘆く。知らない夜に落下していく 夜の喉をひうひょうと風が吹き抜けて 川から一羽の鳥が飛んでいく
すべては還るもの 時間を確かめて流れはじめる魚たちの群れ わたしは扉を閉め 蝕まれていく夢のかげに あの星とをむすび 見守る わたしは静かに
はじまった
あたらしい世界の誕生を

ああ 橋のうえに星は降らない あなたたちに疲労した空を飛ぶ鳥の姿が見えるだろうか 深く沈む魚の声が聞こえるだろうか
月が階段を駆け上がり星たちが落ちていく 凍りついた光が破裂して あたらしい あたらしい世界の誕生 夜明けが近づくたび衰えていく闇のなかで いくつもの夜が終わり またひとつ死が川を流れ それは静かに 古い夜をつれ 見送るものもなく 永遠の海へと消えていく世界
永遠に群がる亡霊 その様子を風は嬉しそうに魚に伝える 千の星の降る夜にただ終わりの順番を待つものたち はじまりの朝に過去を連れてはいけない 沈んでいく魚の影は 誰を見つめるわけでもなく
何度目かの 死を知った。

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