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NOT GONNA GET US
 黒田みぎ

温泉はいい 温度差がいい
(身体にいい 身体にいい 身体にイイ(・∀・)!!
温泉はいい 温度差がいい
(身体にいい 身体にいい 身体にイイ(・∀・)!!
でも 膝が痛い(イターイ イターィ ィターィ)
ねえ 膝が痛い まじで痛い どうしようもない
怪我してるの どうしたらいい? 困っちゃうわ どうしようもない けどせっかく日本に来たの せっかくだもの温泉にはいりたい
ねえ どうしたらいい わたし困っちゃう はいりたい 温泉にはいりたい(ハイリタイ)
温泉はいい 温度差がいい
(身体にいい 身体にいい 身体にイイ(・∀・)!!
温泉はいい 温度差がいい
(身体にいい 身体にいい 身体にイイ(・∀・)!!
でも膝が痛い(わあわあ)
『ヒザガイタァーーイ』ホモセクシャル ホモセクシャル
ホモセクシャル ホモセクシャル ホモセクシャル ホモセクシャル ホモセクシャル

ねえ モーニング前に温泉にはいらない?このままじゃ寒いわ
おしゃべりしながら外の景色でもみてさあ アブノーマルなおしゃべりして ふっと息かけて
あいしてるよ あいしてる あいしてるよ 振らないで 振らないよ あんしんして
温泉はいい 温度差がいい
(身体にいい 身体にいい 身体にイイ(・∀・)!!
温泉はいい 温度差がいい
(身体にいい 身体にいい 身体にイイ(・∀・)!!
ねえ どうしたらいい せっかく日本にきたのに
ホモセクシャル ホモセクシャル ホモセクシャル ホモセクシャル ホモセクシャル ホモセクシャル ホモセクシャル
ママの記念日 温泉につかる よかったねママ
ねえ あいしてる あいしてるよ くろい肌こすってあげる
温泉はいい 温度差がいい
(身体にいい 身体にいい 身体にイイ(・∀・)!!
温泉はいい 温度差がいい
(身体にいい 身体にいい 身体にイイ(・∀・)!!で!も!膝が いたぁいぃ(ホモセクシャル ホモセクシャル ホモセクシャル…)


t.A.T.u.日本語訳黒田みぎ


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Sound and Vision
 ホロウ

音が聞こえたんだ
音が
ああ、そいつは本当にものすごい音だったよ、憤まんやるかたなしといったような―何かに例えるとすればそんな音だった
俺は本当に驚いてさ、だってそんな音が
だってそんな音が自分の中から聞こえてくるなんて考えた事もなかったもの
俺は反射的にシャツを脱いで、上半身を姿見に映してみたんだ―どこからその音がしたのか突き止めなければいけないという切迫感に駆られて…そう、あれはまさしく切迫感と呼べるようなものだったぜ!!この俺の日常においてそれは途方もなく異様な現象だった
それなりにケアしているこの肉体を俺は眺め回した、特に顎の辺りから鎖骨にかけて―なかなか気にかけることのない辺りだね、その辺を中心にして
だけど、その音が聞こえたのがいったいどこからなのかまったく見当をつけることが出来なかった、俺は鏡に向かってイラついた表情を作ってみた―それが本当の感情なのかどうか知りたくてね、だけど、知ろうとすればするほどそれは嘘っぽいものになって
ああだ耕だと眉を動かしているうちに当初の目的を忘れそうになったので表情筋の具現化の整合性についてそれ以上考える事はやめにしたんだ

さて、いったい俺のこの体内でぶっ飛んだ表現を成しえたものはどこに潜んでいるのだろうかと俺はじっくりと考えた―シャツをきちんと着て
考えれば考えるほどそれは判らなくなった、こんな話があるんだ―とある大学である教授が認識だかなんだかの講義をしていたら一人の学生が乱入し教授の胸に何か尖ったものを突き立てた、何人かの女生徒が悲鳴を上げた、男子生徒も硬直した、ところが―
教授から離れた男が手にしていたのはバナナだったっていうんだね
教授はこの一件について生徒のアンケートを集めてみるとなんとたくさんの生徒が、「バナナではなくナイフに見えた」と書いていたというんだね―教授の目論みは見事に成功したってわけだ―ええと、それで俺が何を言いたいのかというとだね、喉もと過ぎれば熱さ忘れるってやつで―俺にはもうさっき聞いた音について事細かに説明する事がすでに出来なくなりつつある、さっきなにかにほんの一瞬気をとられたせいで―それが何かももう思い出せやしないっていうのに―あっという間にその音についての明確な感触を忘れてしまったというわけなんだ、具体性を持たせようとして曖昧にしてしまった、こいつはなんて失敗なんだ
いや
まだ失敗というには早い―だって俺は音そのもののことは忘れてしまったけれど切迫感についてはまだはっきりと覚えているんだから
事故を起こしそうになったことってあるかい?俺は起こしたこともあるけれど―ともかくそういう一瞬が呼び起こすみたいなショックさ、色彩がホワイトアウト気味になって、動悸が早鐘のようになる、一時期流行ったジャングル・ビートみたいに―あのショックに本能的な不安を加えたもの、そんな感触なんだ、つい今しがた俺の身体を閃光のように駆け抜けた音が残した切迫感というものは
もう出ていっちまったかもしれない、俺がそいつに追いつけないだろうことをすぐに察して―凡庸の地平に俺のことを置き去りにしていっちまったかもしれない、閃光は俺の脳天辺りを穿孔して、蛍と一緒に黄泉の国を目指して行ったのかも、途端、俺の切迫感は恐怖に近い様相を呈してくる―もしかしてあれは、もしかしてあれは、決して逃がしてはいけないものだったのではないのか?あいつが穴を開けて出て行く前に、俺は身体を硬くして、あの切迫感を体内に閉じ込めなければいけなかったのではないのだろうか―もしもあれが生まれてこのかた、孕み育んできたひとつの根拠のようなものであったとしたら―動悸がまた速くなる、今度はもっと違う―下手なヘヴィメタ・バンドのバスドラの描く不整脈みたいな―そんなたちの悪い動悸だ、俺は本当に胸を押さえつける(俺は本当に胸を押さえつける)B級ホラーみたいな悪魔が生まれてきちまうんじゃないだろうな、俺の不安は枚挙に暇がない
音を聞くべきか?もう一度あの音を聞くべきか―?もう一度あの音は聞こえるのか?もう一度あの音を捕まえる事が出来るのだろうか―俺は心臓を直接握り締められそうなくらい胸を強く押さえ―でもそれはきっとなんの足しにもなりはしないのだ
音!!
音だ!!
荒れる呼吸を統制しようと試みながら俺は叫んだ、あの音はきちんと捕まえなくてはいけなかった音ではないのか―!?
音をよこせ、音をよこせ、音を―あの音を俺に
あの音を
俺に
俺に…


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ピーチ・ジョン
 吉田群青

家人が寝静まったあとの台所で
通販の申込書を書いている

商品番号
申し込み番号
申し込み数量
こういう風に全てをきっちりと決められたなら
生きるのがどれほど楽になることか

開かれたカタログの頁には
レースとフリルが暴力的なまでに繁殖し
天国があるとしたらこういうところだろう
モデルたちは
あんまり笑いすぎて
むしろ泣いているようにさえ見える

わたしの指先から生まれる数字は
みな一様に角が取れ
まるで
海でしばらく洗われたみたいな形だ
ころんと横たわるその数字たちは
ペン先でつついても
嫌がるみたいにもそもそと動いて
勝手に枠からはみ出していく
舌打ちをして
修正液を使おうかどうしようか迷うが
結局使わずにそのまま書き進める

生来
計算能力というものを持たず
九九の七の段と八の段は必ず間違えるわたしが
割引金額を差し引いたあとの合計金額に送料を加算し
払うべき代金を割り出すことは
驚くほど早く出来るのだから不思議だ
小学校で習った算数は
このときの為だったのかも知れない

くすりと笑うとポットが沸騰したので
コーヒーを入れて飲んだ
深夜に飲むコーヒーは赤錆の味がする
赤錆と黒インクと冷たい夜露が混ざった味がする

書き終えた申込書は
なんだか見るも無残な印象を受けたが
書き直す気にもならなかったので
そのままポストに入れてしまった

以後
待てども待てども商品は送られてこない
カタログは机の上に置いておいたら
知らぬ間に母親に捨てられてしまった



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パスタ、レモン・フィッシュ
 稲村つぐ
 
スパゲッティ、パプリカ(イエロー)、ニンニク、乾燥輪切り唐辛子、
塩、オリーブオイル、ナンプラー、ナツメグ、タイム

@塩適量。スパゲッティを茹でるためのお湯を沸かし始める。
A輪切り唐辛子(中国産)少々と、ニンニクをみじん切りにする。パプリカ(イエ
ロー)をサイの目に刻んでおく。
Bオリーブオイル適量をフライパンで加熱し延ばす。
C唐辛子とニンニクを炒める。
D香りが立ったらパプリカを入れ、馴染ませる。
Eナンプラー適量。
Fナツメグ少々。
G塩少々。必ず味を見る。
Hフライパンを待機させ、スパゲッティを茹でる。沸騰を確認。おおよその海水はい
つも、睡眠が不足している。

サメ科の魚が泳いでいた。とおく、緊急車両の波間に。
巨大な画鋲で刺されたまま私は、生まれた国以外では誰にも、合わせるための顔を持たない。
この胸、そして、くちびる、今日も眠るまで落ちない指の、ニンニクの匂い。
打ち上げられては、引き潮で帰る。錆びついた船体。
茹で加減は、製造元指定の2分前にチェック、約1分前に鍋から上げる。

Iスパゲッティをフライパンに合わせて中火に。茹で汁適量を加え、馴染ませる。
Jナンプラー少々。
Kタイム少々。
L炒め過ぎないうちに皿に盛る。

(メモ)ナツメグが、ナンプラーの旨みを円やかにパプリカへと手渡す。そこをタイムで、香草焼き風味に仕上げる。

私はニンニクくさい指でグラスを二つとり、アイスコーヒーをそそいだ。
夫の目を見る。
少々あって、「秋だね」とつぶやかれる。




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冬のくじら
 丘 光平

知っている
朝を焼く音を あれは
鳥たちの羽ばたき

そして
気づいている
羽を貫く冬を それがきみの
最も正しい姿勢だ


  *


屋根に降り積もる 雪
私の中に降り続く 雪

ならば
雪に願いを立て
雨と流れてゆけ


  *


いたるところ
息のけがれた雨はある
息を枯らした川がある

北行きの風に
海のありかを尋ねたなら
潮は来るだろう

 おお らおお らあ
 おお らおお らあ

私はくじらだ
波を伝ってゆけ


  *


かつて
海に閉じ込めた 母
母を迎え入れた 海

くじらは鳴いた
救い出したなら
帰ってよいのかと

海はこたえた
星たちとの語らいに
陸の言葉はいらないと


  *


時の頂きを泳ぎ
星の海に羽ばたくものは 
ふりむかない

冬の最果て
夜よ 
白く咲いてゆけ



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ほんのう
 熊谷里美

毎月二十日は
わたしの子供が流されるころあいです
月に叩かれ伸ばされるままに
天球の中をぐるぐると周るころあいです


わたしはより一層裸になり
ぼやけて見えない幽霊の粒に触れ
過剰に気持ちが湧き立ちます
触れた部分は乾燥し
あまのじゃくな粉が飛ぶ
性を含まない花粉の旅立ち


あの人は未だに駅で待っているだろうか
無言の手紙が三日置きに来ているけれど
素敵なお母さんなら周りにたくさんいるわ
わたしはもう半分以上 魚になってしまったから


今夜ばかりはふるさとの
大きな川が恋しくなります
だからわたしは三合炊ける
すいはん器を抱いて眠ります


肌色の海のなかを
ゆっくりと旋回し
季節はずれのカーネーションを咲かせる
たとえ一人でも 独りでも



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わたしの水位をたもつもの
 しもつき、七


きょう散歩道の、踏まれふまれてしにかけな花へ
ぬるいミネラルウォーターをたぷたぷとやってきた
わたしはその、なにをいつくしみとまちがえたのか

きみならすべてがかがやくし、なのに、わたしはなぜ
(ただこのみぎてをただしいとみとめたかったんだ)

しょうもないんだわたしの花にもみたない生命は、
きたいなどしていませんといわれればきゅうにかなしく
、さみしくなる、眠りからとけてもわずらわしいまま?

ぼんやりかすんだきょうはもう春じゃあないのかな
(いつのまにわすれてきみであんしんをしたくなる)

わたしはきみのひだりききがすきだから、ぜんぶ、みとめて
その日常すらせいぎなどではないのだとおもいしらされよう

  ・わたしの水位をたもつもの



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動作
 たもつ
 
 
少し離れた
海のようなところを
目覚まし時計がひとつ
泳いで行きます
古い色のバス停で
返却期限の過ぎた図書を
二冊抱えたまま見送る
息継ぎだけが
わたしの動作でした
 
 

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