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ラストサイダー
 しもつき、七


なつかしさだけでよかったのに、泣かないでよ
のどをつぶされてしまう、きみのなみだでふさがれ
(薄いくちびるとがらせてなつのわらいかたをする)

しずかにあしをふみだしたそのときの呼吸を知ってた
サイダーみたいなしゅんかんをみのがせなかった、

ななめうしろのきみのせなかにいまながれる汗が
ぼくの血とアイスティのこおりと暑さにとけだす
そんなゆめ、おちつきのないシーエムみたいなゆめ

野球部のボールがはしるグラウンドでも炭酸がひかり
、しめった土を踏みしめるけれどまだきみがみれない
いつからあんたはこんなにせんさいな女子になったの

ああぼくもあんなはしりかたをすればいいのかと
いつまでもうんどう音痴なあしをゆびさしておもった

  ・ラストサイダー



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三月の手紙
 前田ふむふむ

白く鮮やかに咲きほこる、
一本のモクレンの木の孤独を、わたしは、
知ろうとしたことがあるだろうか。
たとえば、塞がれた左耳のなかを、
夥しいいのちが通り抜ける、
鎮まりゆく潜在の原野が、かたちを震わせて、
意識は、漆黒の海原の深淵をかさねながら、
ひかりを見ることがなく、
失われていった限りなく透明な流れを、
いつも一方の右耳では、強靭な視力で見ている、
そのように引かれている線のうえで、
萌えだしている夜明けを、
風雨に打たれて、力なくかたむいて立つ、
案山子のような生い立ちの孤独として、
意識したことがあるだろうか。

恋人よ。
わたしが手紙のなかで描いた円のうちがわで、
あなたが死の美しさに触れられたら、
わたしに囁いてほしい。
ときが曲線を風化させる前に。

空に有刺鉄線が張られて、
その格子のすきまに止まった
泣き叫ぶ白鳥の群を、美しいといった、

恋人よ。
あの着飾った日記帳のながい欠落した日付が、
ほんとうは、満ちたりた日々で埋めてあると、
うすく視線を、やせた灌木の包まる、
感傷的な窓にやった、

恋人よ。
寒々とした白昼のカレンダーのなかで、
熱くたぎる乳房の抱擁を、
わたしの白く震える呼吸に沈めてほしい。

盲目の荒野を歩く朝の冒頭を、
生まれない匂いが、草の背丈まで伸びて、
見渡せば、死のかたちが視線にそって、描かれる。
次々と波打つように。
わたしは、大きく声を、
茫々とした見える死者にむければ、
小さな胸の裂け目から、
仄かに、流れるみずが、
わたしの醒めたからだの襞を走る。
ああ、生きているのだ、
詩の言葉の狭間を。

わたしは、充足した世界を、埋めつくしている両手を、
空白のそとに捨てて、
ふたたび、見えない風に吹かれる。

夕陽の翼から、零れるほどの、
先達が見つめた、

恋人よ。
赤く沈む空に、昂揚した頬をあげて、
梟は、今日も飛び立ったのだろうか。


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 イシダユーリ

排水溝カンナビス0654E、応答せよ、
舌の裏に、爪をあてて、火傷した基盤を、傾ける、
からだに、紙を、あてる、
57階のトイレにずっと、座り込んで、
ファンがとまる、腹の中で、
サンバが、どっかから聞こえる、どうして、
あなたは、行ってしまったのって、海のもくずだ、


排水溝カンナビス0654E、応答せよ、
ちょっとしたセツナさを、集めて、集めて、
ネジが狂った、夕日が緑だ、売春婦の肌の白さ、
し、しぃ、熊の毛がぬけて、あかい、しぃー、
しぃ、集めて、セツナさを、
集めて、窒息寸前の穴に、骨や肉を、
つっこんで、無理やりにでも、うごかす、
幻覚?ちがう、蠅が飛び回る、


排水溝カンナビス0654E、応答せよ、
影が増える、牛模様のネコをなでる、死んだ妹、
尻尾がちぎれているから、ワンピースを着ていたの、
影が増える、去年の祖父の金属、今年の母の繊維、
けれど、模様は薄くなり、
妹のワンピースの、
染みは、確か、


排水溝カンナビス0654E、応答せよ、
57階のトイレに座り込んで、落書きを、なでている、
数字、数字、数字、数字だということだけが、
数字、手のひらの汗で、擦れる、
ふくらはぎにあるアザが、あおい、みずうみ、
ゆがんでは、
皮膚をもちあげる、
いと、虫が、
吐く、


排水溝カンナビス0654E、応答せよ、
かなしい、せつない、夕暮れ、シェリー酒、海、どうしようもない、
排水溝カンナビス0654E、応答せよ、
57階のトイレに、ならびたつ、その、瓶詰め、
口につけられた、その、チューブの始点を、問う、
数字、かなしい、数字、せつない、数字、無力、数字、どうしようもない、
数字、数字、数字、問う、この臭気は、数字か、
この肉は、数字か、
排水溝カンナビス0654E、応答せよ、

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 101号室
 
深く息を吸い込んで、それでも
彼らはまだ空みたいに青白かった
そして誰のためか、あるいは自分のために
吐かれる息に、私は
春がどんなものだったか、思い出してもいい
と許された気分になっている
それは暖かな陽射しの下で誰かをひき殺したり
花の匂いのする縁側で眠りにつくことを夢見るように
というのは、花の匂いのする縁側に火をつけ、眠れるように
あるいは、そうなったらいいと晴れた日に祈るみたいに
誰かがそれに高額な、暖かな光を当てて、でも私達は
何より、それを行うべきだ
どこからかどこかの点へと結ばれた唯一の線に
なぞられ覚醒へと向かう朝は
そんな夢を見る夢を見るかもしれない
桜が咲き、誰かが春の訪れを祝うとき
逸脱された春からの支線は、あなたの口癖である
夕暮れどきの落下者へと加速して
たった今なくなったように、それらは存在しない
晴天、そして
取り残された春の朝は、いつだろう
これらはいつのことだろうと、すぐそばに
暖かな陽射し
接近しているに違いない
どこからか、何よりその朝に結ばれた唯一の線は
いつまでも得心がいかない、曖昧な彼らの吐息の中に
そんなふうに今にも、消えてしまいそうだった春は
たった今失われた夢、まどろみの中だった
彼ら、彼ら
もしも、そんなふうにして祝祭が止まないなら
それら、ただひとつだけのもののように行うべきだ
桜の下で、これはいつだろう、いつのことだろうと
どこからかどこかへ、線上から逸脱しているのだ

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それでも雨は彼女のもとに
 黒田みぎ
 
/夜中の交差点であかりがひろがる(海の声 耳をうめて 光のない世界に星がうまれた(最初のヒカリだ)ひとまわりさきにある/みたことのある/景色のにおい/ふたまわりさき/うすれていった記憶をのぞく
「それは ひとつめでしょう。ひとつ、ふたつ、みつめをみたら おまえは背中をむけて目を閉じなさい(水で遊んではいけないよ」/まばたきをすると 近くぱしゃんと音がして
こごえたきみは 忘れてきた靴下がはいらなくなったんだって かなしそうにつぶやいた。(大きなめをした きみは 海をみて/そこから先の何を、みてるの?/誰かが今日も魚になる )



おまえは
とびかかるさかなのむれに
おびえ
ひゃくにんのおとこの
したいをみた



「水は、落ちて、流れる。波は小さくなった鳥を飛ばしてしまう、あなたの部屋の隣から、声、が、聞こえてくるでしょう。あれは離れたところにいる誰かへと、彼女が話しかけている声なのです。指で髪をくるくるとまいて それは電話をしているようにもみえる気がします。 」「 海、が 好き。 と、聞きました。此処からは海がみえないでしょう。残念ですね、と 私が言うと 彼女は少し微笑んでくれました。
」「 いきる、とはなんなのでしょう。彼女の部屋の床はいつも少し濡れていて、せめて雨だけは、と 私が窓を閉めようとすると 彼女はどうしてか必ず泣いてしまいます。( ああ/あ、また 水が ふえてくる/る…)
(水で遊んではいけないと、知っているのに、/みつめをみたから?)彼女は指を水につけ、(消えていく ユビ )」
「溺れている、の かもしれません。彼女にないのは指だけではないのです。彼女は水を求めて、水は彼女を消していく。やがて すべてが消えてしまうかもしれないというのに 、
 

//空が美しいものだとは思いません、 水と、陽の隙間はきらいじゃない、 と 言う。――雨は薄くする。 したいと願う 想い きっと カサ 、は いらない。廻りはじめる、空 なれる やっと わたしは 夢を、たべて、世界は 明日をみる 廻りの先
 靴下に隠れるところに星を飾る。(したいを みつけると) 自分だけの星になって た。
ちきゅうがどこにあるの?と 聞かれたので、きみにユビをあげよう。それですべてわかるはず。そうすれば喜んで抱きしめてくれるでしょう?
 (わたしを
夜の橋の上 歩くと
カラダが 軽くなって
少しだけ空を飛べる
川には水が たくさんの水が流れているから だと
(橋、知らない?/きっと)星はたくさんあって
空もいろんなところにあって それは わたしにはならない



マチの近くの公園で急に電話がぷつりときれた 圏外としか伝えない携帯電話をポケットにいれて
公園の端にある公衆電話にコインをいれる
   硝子いっぱいにおちていく真っ赤な舌 靴下が風に流されて  しまう
ボックスをたたきつけるようにセめる雨は 世界を縛る星と衝突している

なでる あしを なでられる わたしは 、
 大きく空に浮き上がったホシをしらない 落ちてくるのはヒカリばかりで
橋の上には わたしのしらない顔が またふえている
メのうえから アゴまで
誰ともしらない舌が落下してゆく
天気予報は雨
そればかりをくりかえし くりかえし(テ)
 あなた 、は
ユビなんてしらないと くりかえす わたし 、を うんざりとしたカオでみていた

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車輪の下に
 藤井柚子
 
夜明けまえに落ちてくる
右手を下にして横向きになる 目を閉じて いつからか考える(わたしは丸くなり)いつからあれが降っているのだろう 今日も名無しの子たちが降っている アアアンアンアン声がきこえる
どぼん どぼん どぼどぼ
わたしはね 16歳
家族は増えましたか
ええ すませましたもの
何をすませたのかしら
わたし子供ですから
子供ですからわかりませんか
幼児が一匹 幼児が二匹
あの子右目が落ちてもけ
らけら 笑ってる
すました三匹 血のない四匹 わたしたちは繁殖をしている ぴぽぱぽぴぽぱぽ血の味がしないんです 噛みますが 皮膚 血の味
昔のことでしょう
いいえ今のことです
どうぞ おめしあがれ
いま わたしが16歳の時のことです ほら また 幼児が降ってきて海に落ちていったでしょう
名無しの子たち いまはもうただ焼かれ幼児だけが落ちてくる世界で ブルー かすかにこちらへ響く燃えた青 とおく とおく
あなた 親になりますか
いいえ わたしはまだ子供ですから親にはなれません/なりたくないにきまっているでしょう
なりますか親に
繁殖
増えたあとの暖かさ
存在しない親を憎む 絵のなか
船を用意させました
そして幾千の星に焼かれ
あなたは親になるでしょう
なりたくないっていってるのに?(幼児が一匹 幼児が二匹 海に落ちてく 幼児が三匹 ふふ それは美しいです)
親はどこからくるのでしょう 名無しの子たちは やむことなく落ちていくのに親は一人もい
ない きれい と呟く
16歳だから わたし
ごめんなさい/ありがとう
自分のところに還ります
落ちていくのみてるだけ名無しの子たちが落ちていくの(本当は楽しみにシテルンデショウ/ねえ ねえ)みてる
だけ 言葉なんていらない
どぼんどぼんといらない子たちいなくなって
やがてすべてがいらなくなる いつかすべてをいいわけにしても ブルー それらは傷口からわいてくる 発熱するでしょう 最初の親から 最後の親まで
あの青が消滅してしまうまでは
いいわけにしてもいいでしょう?歩きまわる生 死ね
―消えてゆくものたちが燃えた青に流され どこにもゆけないのだとしても やさしい骨たちがわたしを抱いてくれる
わたしはまだ 16歳
ただわたしが親になれないだけ


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