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癌にいたる途上(1〜5)
 クロラ


(殺人の風景)

廃虚の暗いビルの屋上に
子供たちは整列する
みな顔を伏して
順々に飛び下りていく

曇り空の下に
子供たちの生命が散っていく
夢のように感慨なく
等間隔に



血液の広い空に
小さな脂肪ブロックが投げ出され漂っている
上下もなく左右もない液体の宇宙で
スケールのないこの世界では 宇宙の遊星とこの肉片は等価

魅力的な「殺人事件 探偵 ワトソン 警察官 被害者 犯人」

・・・退屈な(捜査、立証、報道、世論、判決、忘却、怨嗟)

スプーンで掬って排水溝のぬめりを食べてごらんなさい
雨の降る生温い湿地に立ち尽くしてみなさい
農薬の濃いキャベツの葉を炒めて食べなさい
そうした悪趣味が私の体に留まり
兄弟も恋人も両親もみな
それを慈しんでくれた



白い坂道があらわれ
私は見上げながら上っていく
ハレーションを起こしそうなほど眩しい
そうした夢は懐かしい思い出の中の未来へと繋がっている

覚えている地名
(ウエノ ヤクモ ミゾフチ ゾウシガヤ ノゲ …)
そうした名を全て捨て去り
薬品の力を借りてでも
殴られてでも
どこでもない場所へ邁進しようとした彼ら
私は彼らを暴き
ジョンやスコットや太郎という名前を知り覚えた

残酷なことだったのだ
いま私は誰かの借りているマンションの一室で意識を失い
もう二度とこの部屋を出ることもないという感覚に酔っぱらっている

こうした時なのだ
白い坂道があらわれ
けれど私は意気地なくボーロのお菓子を落とす(よたよた食べ歩きしていたのだった)
ボーロはころころと坂を転がり、下方へと墜落していく



食べること
ああ食事食事食事

むしめづる姫君
あなたも一羽の蛾なのであって
噛み合わせそのものの口で
殴るように魚を噛んで
体液がわっと水中に広がる

…あなたはヤゴだったのでしょうか
生まれる前に刻まれた名前という魂への落書きのように
今ではその身の責任という暴力が
うつくしい瘴気を帯びて纏いつきます

いま宙に漂う虫が一匹
田の上澄みの水面に脚先さっと触れて
するかしないかの金属音をたてると

誰かが生殖します 水の中で
波紋と陽の明かりを見上げながら

このひかりを補食したのは
やがて生まれるあなたの有袋類、あなたの猛禽類、あなたの夕立ち…

…あああまり騒ぎすぎると
泥が舞って濁って分からなくなります
どうせ何が何だか見えにくかったって
澄んだ水なら私は飲みたいと思います



川が涸れるように
森も木々も枯れ
小石たちは徐々に完全な球体に近づく

もっとも摩擦しない形
摩擦しきった後の形に

意思もまた摩擦しきると
極小の球になるだろうか
何ものにも壊されず
あらゆる風向きに流れる

人が人を食べるのに最も不具合な形
シンクの中の水滴が他の水滴と手を取る早さで

私になにをしてもよいです
と言っても
誰にも愛することも抗うこともできない
最小の人間

回し飲みされるビール缶の中にも泳いでいる
小さな殺人事件
その報酬は全員に等分しよう

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抱擁へ這う
 漆
過去について

 

神社では桜がぼたぼたと身投げしている 誰も何年か後の風景を想像しているわけではない
歩き出せば知り合いの車とすれ違う ただなんとなく生温い風 欝陶しい髪 爽やかな駅前 電車は何行きなのかも乗客には教えない 事前に知りたくば就職しろという かんかんかん 長い階段を睨む
新調したスーツの肩幅が広く 山のように切符を内ポケットに忍ばせているのがわかる 毎朝歯をみがくつもりが なにをみがいていたのだろう 四季に執着する前屈みな団体が あれよあれよ 無視できないほど増殖してゆく


どこまでゆけば得をするのだろう 金は大量の 血で洗われ
みなが アスク アスク アスク
アスク アスク アスク 行進しながらせがんでいる


疲れた どこか 水槽へ泊まることにした
ともしび ともしび 埠頭が快活と ともしび ともしびの支度をして
まばらな宿で冷酒をがぶ飲みし ねり歩き みずみずしい夕食を そうだ 僕は眠れる
人と違う人を疎外し また 友達に選んだりする いつまでも轆轤のうえで手を添えられ続けている 望むことはとうに 深い諦めの真似で 名指しがたい空砲が噴き出す
だけど誰にも笑われない
誰にも見られてはいない
平たい石を探せ 水面と浜の境目はその秘密だ 待てど 戻らない僕に 冷え切った乗物が ぱきん と幾度目かの誕生を知らせる


自然化してゆく肉声で 何度も呼び直す
アスク アスク アスク
アスク 福音 アスク アスク アスク アスク

僕は
なんて静かなんだ
ああ しらなかった

 

神社では桜がぼたぼたと身投げしている 誰も何年か後の風景を想像しているわけではない

この口底

それはやはり旅で
そして当然のように
さよならしたのです

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死ぬ間際だよネーチャンこの言語動作は
 狩心


正常な者は立ち去れ 死の言葉を目撃してはならない 幸福を求めるものは立ち去れ

二十二時二十二分二十二秒二十二二十二二二イコールイコール類コール胃胃袋増増殖食食 
ああ、気持ちええ。きもちいい。気持ち悪い。わからない。変わらない。甲高い声、キィ!

東京発乱気流歯医者男失踪車線変更脱毛改革勃発恐怖落日政治学校虐殺請求書類上詐欺師
告発人間的破片無重力怪奇現象

新幹線も 飛行機も さらば さらば 
頭が痛くなる 体は固定され 引き千切られる
移動 さもなくば 死 わだかまる 脱 天空者 脱 けちらし 純情 緑翼の野獣

運命はそこで閉ざされた。分かりもしない事を分かるはずだと思い、分かりもしない事を分かると言い放ち、言い伝えの通りに前後運動を行い、一体それに何の意味があるのか。我々は、今を生きているのか。そうか、でも俺は今を生きていないんだな。そして、諸君が生み出した、ソーダ水を飲み干した、体中から生み出したそうだ。全てがどうでもよくなってしまった諸君。意識は無意識だろう、無意識は死んだだろう、宇宙のやさしさに腹が立つだろう、諸君が極悪非道残酷の限りを尽くしても、既に世界はそれ以上に虐殺なんだな。諸君が自由を謳歌し、愛で世界を満たしても、それを行う以前に既に世界は素晴らしいんだな。何か、やらなきゃならない事があるはずだと思い込む使命感は自由だ、ファの音が出るくちばしはミファソだ。俺が漂っている殺気漂う無銭乗車、ここはサイレンが鳴り止まない遊泳禁止、補助輪が作動する動作を見せ付ける危険区域だろう、そうだろう、さざなみ。

俺は生きているのではなく
 生かされている 養殖産業
俺は動いているのではなく
 動かされている 強制労働
俺は俺に反逆する俺は俺を殺す俺は生かされていない動かない俺を創造する俺は死んだ方がマシだ誰のせいでもない落ちるなら堕ち切れ 切れ端になれ 死ね早く死ね これはポジティブだ 俺は常に前向きだ そうだろう、アゲハチョウ。

縄梯子を用意しろ。今から。見失うような見間違えるような見る事など出来ないとの宣告は、お前が死んだ後だ。空洞化されろ、嫁入りしろ、早く早く早く、乳母車爆発の歓喜。

ああ死ぬもう死ぬ 死のう死ぬ時 おい てめぇ このやろう そんな気力もねぇ 絶頂 
全てがどうでもよくなってしまった諸君 ざあざあ降りだ 久しぶりだ わかめは海藻だ
心は死んだのに指先だけが生きたいと叫ぶなんて誰が予想しただろうか 朝はお茶漬けだ

弱者健康歩兵隊前進前略母上父上祖先全部省略削除決定稿世間出没地下鉄事件妄想軍事力

五月雨散文詩メカゴジラ来い 五月雨散文詩メカゴジラ来い 五月雨散文詩メカゴジラ来い
五月雨散文詩メカゴジラ来い 五月雨散文詩メカゴジラ来い 五月雨散文詩メカゴジラ来い
五月雨散文詩メカゴジラ来い 五月雨散文詩メカゴジラ来い 五月雨散文詩メカゴジラ来い
五月雨散文詩メカゴジラ来い 五月雨散文詩メカゴジラ来い 五月雨散文詩メカゴジラ来い

どうやらおれはまだ希望の星を

使命感は植え付けられた 世界がこんなにも暗いから 心温まる火を人々は掲げる
海の波は力強いから 一人乗りの木のボートはすぐに浜辺に打ち上げられてしまう
海を眺める 左から右へ 右から左へ 同じように見えるか? 何か違いはあったか?
ナタデココゼリー どこで抉じ開けられた缶詰 声が出ないもう声が出ない 
砂漠の歯応え 己1 己2 己3の首を切り落とす 何か世界に変化はあったか? 

新幹線も 飛行機も さらば さらば スカイジェット 万が一のダージリン珈琲
頭が痛くなる 体は固定され 引き千切られる

移動 さもなくば 死 わだかまる 脱 天空者 脱 けちらし 純情 緑翼の野獣

唱えるよ、ごるむぞてにた。

こんすとるらくちゃ。みんたまげた、はきだんめんなか。
めくそんたれ、まだがすかる、またにとうはいらん。
みんたまげた、こんすとるらくちゃ。

にーたんたれたん、すきみる、ろうろうとるべきすがた、ふぁっく、すとりんみー。
ざるぐるべるぐるぼるぐるもるぐる、はじきとばしのなか。
おれの世界に誰も入るな、呪い殺してやる。
ひとことまさいばる、まるまるしくまさいばる、ろうろう。
ちくさんげのむ、じんたくめき、どーじょーなす。
がづでむにだ、がるばるがる、ばせにそんみたる。
むしけらのごとく、ゆくがごとし、おまえらがごとく、はじきとばされるなか。
こうちょくむし。
ねつききゅう。
きゅうじじん。
すきーじじみんたれたれ、じじじじんせいわすれるな、すわれるな、すわれるとおもうな、
なげだせ、ここまできたのだから、おまえらはほんものだ、

こんすとるらくちゃー!     みんたまげた!
はきだんめんなか!   めくそんたれ!
まだがすかる!   またにとうはいらん!
 みんたまげた!   こんすとぉーるぅーらくちゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああー!

移動 さもなくば 死 わだかまる 脱 天空者 脱 けちらし 純情 緑翼の野獣

こんす とぉー るぅー らくちゃー




[編集]
過酸化水素の夢
 望月ゆき

パーティーは散々だった
おやすみ、のあいさつの方角へと
だいだい色のシロップが
ゆっくりと流れて 
しだいに
粘性を増してゆく、
夜の


水の底で ゆうべ、まき散らされて
わたしは
思いがけず 酸素と
語りあい、
結合し、そのまま
深いところまで おちてしまった
アサガオが
あしたの朝、ひとつも咲かない
夢をみた


パーティーは散々だった
フェイドアウトが得意なことばたちと
行ったきり帰らない
天気雨に打たれて


目を醒ますと 世界は
ソファの上を 細く 
息苦しく、まわっていて
泣いたり
呼吸したり
おはよう、を漏らすことすら
容易ではなくなっている




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とんぼ
 丘 光平


あなたの庭から
昨日が
 あそびにきます

わたしは 少し
赤くなって
 ことばをたたむと

昨日は
とんぼのように
 飛んでゆきます―



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春の王冠
 橘 鷲聖
 

うぶ毛を撫でるぬくもり
いまはもう襟をひらきながら
野望の本を携えた
それは連峰が突き刺した
雲ひとつない天涯の青さ

赦されない想いを
双眸に宿し
草の香りに死んでゆきたいけれど
木漏れ日の降りる斑葉の坂道
約束は朝

覚えていました
何もかも

チェスを知らない少女は
kingとqueenを互いに傾ける

くわえ煙草のスカイラインを
指でかき混ぜて
掴まえた果ては
ほんとうに露で塗れて
見開かれたあと
固く蒸気する

互いの掌でターコイズをはさみ
風にめくれた頁の何処かから
鍵が落ちた
吹き抜けの高い窓に
羽撃きの絶対と
鈴音のつらなりが
結ばれゆく

その途上、幸福というものを

信じた
 


[編集]
平原III
 田崎智基


ひとつふたつみっつよっついつつむっつななつやっつここのつとおひとつふたつみっつよっついつつむっつななつやっつここのつとお、くさのおのおのはじぶんをかぞえつづけるかぜにゆられるたびまたいちからかぞえなおして、重力のいろは蛍光とりょうににているからひろびろとふりつもることであぶらのしきさいをその体表のうえにゆらしているそこは


平原ではない
ひとつともることでふたつともりふたつともることでよっつともり、そうやって加速的にほしぞらのようになる表面はまぶしくなればまたいっせいにきえて、はじめにともるくさをしることができないのでくりかえすその現象をぼうぜんとかぞえつづけるそのかずに比例してわたしからなみがうちひろがりまたうちよせてくるそこは


平原ではない
わたしからわたしになりそのわたしがわたしになることはねのあまいにおいにとうすいすることにもにていて、あしはもうとうぜんのようにつちにうまっているからわたしはわたしがわたしであることとわたしがこのばしょであることとの区別に論をくむことができないいっぽうでわたしはくさと相似だから、べつのわたしがずっとわたしをみていたそこは


平原ではない
そうちょうはずっととおくまでわけへだてなくきりになり、飽和したくうきは内包しきれないげんごをくさのもとへと結露させるから、密集することで乱反射をすくなくしたきりのつくる垂直のすいまくの、その無限にりんりつするはんとうめいのスクリーンのむれが退化のこんせきのようにひとつとしてなにかをうつすことのないままきりにぬれていたそこは


平原ではない
おいていかれる、わたしはねむることでわすれるしわすれられたわたしはわすれつづけるしかない、いっこにこさんこよんこごころっこななこはっこきゅうこじゅっこいっこにこさんこよんこごころっこななこはっこきゅうこじゅっこ、くさはすこしだけ生長した、わたしのたいえきをあげるからもっとくさでありつづけてください、わたしのねもともにすこしずつのびていく



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