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てにをは。(オリジナル・テイク)
 マルガリータ
 
誰よりも私が大事とばかりに咲いている山椿
ひらり、
他人の花ならばこそ紅く見えるのだろ

(世界は靴下の匂いでいっぱいよ)

雪のような膝を堅く閉じていた
ひとたび襟元を緩めたなら
わずかずつ綻び始めるのだ
ループタイ、風にそよぎながら枕元に集う
俯いたジャッカルの夜に
たどたどしい花言葉さえも
ひきかえせない覚悟でひらいてゆく
ラジウムの月光に貫かれて
あまやかなるいっちょくせんの踊り
云ってごらん?

問い掛けられて
指と
指と
指を

ねむいけどねむくない
わざわいは蒸発して
やがて後を追うように覚えてゆく螺旋のつらなり
その裾野から丘の上に立ち唄う金魚色した旗が
こんな袖にぎゅ、
と掴まって翻る

山が近くなる雪の速さ
おいで、
おまえに尾翼をあげよう
新しい名前で喚ぶから
忘れられずに慕う影を連れてきてもいいから

すずりの夜は明けて
朝鴉、柿色の始発電車、野仏、
誰かが
あ、虹が
僕等は驚いたように見上げた
眉は八の字のまま口を開けて
それからは
確かめるようにまた笑った
それからは
いっしょに髪を洗った
それからは
かんざしを

ね、 かしら?
うん 

ラリラ
廻る花

ルリラ
くすぐったい花
咲いている

(違いに気をつけて)
(違いに気をつけないで)

それからは
うまく話せない妻の指、その美しい耳のかたち
病床には音が少ないね
かしら?

残された白いクレヨン
水田が映す空の青
見晴らしのよい場所で
大人たちは冷たい鮨を恋しがる
誰かを踏みつけることで満たされる
(いつもそんなこと、してるの?)
(いつもそんなこと、してるの?)
(いつもそんなこと、してるの?)

山道を、急かされるように蝉時雨
薬が高かったのでクレヨンの他は何も残ってなんかないけれど

(パンの耳が、朝ごはん昼ごはん夕ごはん)
(今日も昨日も明日まで、パンの耳が)

君に会えて、よかった

 


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肉体
 ルイーノ
 
 
 
日差しの中の胡桃

春ならば

触れたままでも
光るだろう

再現を拒む指繰り
すずなりの蜜を湛え
直立している
ミルクの木

心狂わせるものは
曲線

それらは風の中だろう

触感は痺れを泳いで
口紅の軌跡を追う
剥いたままに彼女
なだらかな起伏は円い

吐息を自由にしたならば


こんな日は
昼のうち
出掛てしまって
かまわない

きっと誰とも
仲良くできる

すてきな誰かと
出逢うだろう

ああ今

輝きは眼球を破いて
莫大な質量の上に浮かぶ

明日からの人生を変える
緑葉に纏った
雨粒の吹きこぼれる下

路面から立ち昇る霧が
この肉体の間
虹を掛ける


気まぐれ
 
 



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