投稿する
[前ページ] [次ページ]




 市川奈々


マシュー・モディンが他でどんな悪役を演じて見せても、私はいつも吹き出してしまう。「いくら猫を被ってみせたって、解ってるのよ、あなたはBIRDYなの」と。それほど印象的な眼。鳥について私があれこれ考えを巡らす様に成ったのは、アラン・パーカーの「BIRDY」を見て以来のこと。近頃めったに見ないくせに、それはそれは好きだった頃が有った、じっと座り込み画面ばかり見詰める事が、それは随分前の事だ。その頃一番好きだったタルコフスキーの、それは最後の映画だった。「サクリファイス」は、けれど少しも素敵じゃない、彼らしい映像表現が少なかったとか、流れる水が映らないとか、そんな事だけじゃない、変わった、変わったのは彼ではなく、むしろ私だと思う。一緒に上映された「ノスタルジア」も、今では何だか全てが色褪せている。私は変化するものが好き、変わっていく人々についてとやかく批評すべきじゃない、できれば絵や彫刻よりも動くものが、生きて成長しそして衰えてゆくものの方が好きだ、彼等を捕える事は根本的に絶対不可能だから。「動かない、ずっと変わらない、だから絵や写真が好き」と言った友人達は、私を「一種のマゾだ」と笑う、一瞬で変わること、止められないこと、失われてゆくもの、それらはスリリングで魅力的、とてもセクシーだと私が語ったので。
鳩はその場所から動かず、私を見ている、私はベランダに出て毛布を被り煙草に火を点け座り込む、鳩は私を見ている、それは困惑した少女の様な、伏し目がちな眼差し。5mほど離れ私より30cmくらい高い所で、つまりビルのてっぺんから。私もさっきから気にしている、鳩を見ている、彼はつい先程、私の頭すれすれのところを掠めて堂々たる態度で飛んでみせた、私はその姿に見惚れたものだ、でも一度何処かに降り立つならば、彼はとてもシャイになってしまう、此処へは鳩、鴉、雀、他にもよくわからない鳥達が沢山集まる、蝙蝠さえ棲んでいる、こんな街の真ん中に。私がガラス戸の奥に居る時、彼等が私を観察する、ベランダの手摺に来て。でも飛んでいる姿のあの優美さ、あの誇り高さを想うと、降り立った時の連中はひどくびくびくして見える、とても神経質に成っていつも身構えている、それは私も同じ。
私は中央公園に大急ぎで組み立てられたかなり大きなステージ上の、その中央に閉じ込められた。モニターが真ん中に寄せてある所為で、一歩離れれば私は何も出来なくなりそうだった。私達はどうして一日中地に足を付け、常に行動範囲を決めてゆくのか、だから私は逃避行のことばかり書いたりする、いつも、いつもいつも不満でいっぱいだ。
ねぇ、私が何か企んでいると思う?あなたを飼い慣らす計画を巡らせているとでも?まさか、だってあなたは野性の者。鳩はまだ動かないので私とにらめっこ、いいよ行ってしまっても、其処で見ていたって始まらないでしょう?固まった石膏像みたいじゃないの。煙草は吸い口まで灰に成って、私はガラス戸の中に引っ込む。BIRDYは黄色いカナリアと恋に堕ちる、彼をダンスに誘う少女は法則を全部間違える、ねぇ、鳥達が私達に語り掛ける時、そんな風にすると思うの?愛し方を間違えた、あなたは何もわかってやしない。
書いていると朝が近くなり、暁の中に浮かんだ雲が、水槽の魚みたい、リアルとは、つまりこれ、ドキドキするフロスト・ピンク、この素敵なもの。昨日の夢の中で、私は彼等に飛ぶ事について習ったのだ、それは羽ばたき方の訓練、手の平をパタパタさせる、その方法、私は良い生徒じゃない、実に優雅に羽ばたくその鳥が、しかし羽ばたかず私を正面から見据え私の手を掴むので、いいえ、そうじゃなくて、手を離せなくなっているのは私、優しい翼には力は込められてなくて、私を捕えたのは強引な、甘ったるいその眼、それはBIRDYの眼、夢の中でそれは人間の振りをする、けれど私達は話せずに、掴まった腕だけで会話する、夢を馬鹿にしては駄目、私達の夢は何者かによって支配され、正確に操作されている、あなたが夢と現実を結び付けられなくなるのは、それが何万もの絡み合う糸の、その一本だけを拡大した世界だから。
あなたの本当の望みが、あなたの運命の欠片が、夢を伝わって降りて来る、ゆっくりと、あなたの眠りの瞼の上へと。きっと鳩はまた来る、此処はそういう場所、そう想えば、此処に住み着くのも悪くはないと思えてくるでしょう?逃亡の後のBIRDYが、今度はリアルに飛び立つ事が出来ますよう、空が私達の望み、どうぞ神様、そこに居らっしゃるのでしたら、私の鳥達の為になるべく高い空を明け渡してやって下さい。




[編集]

彼岸の雪
 フユキヱリカ


おとなはみんなこまった
あるいは
憐れむ目をしている

幼さは無垢である
無垢は無罪ではない
うつくしいことばを
どれだけならべても
乾燥しきった
血色のない唇から
つたう おとの
何もひびかぬのは
どうしてなのか
と、
たずねるしか知らなかったわたしは
ゆうに母の歳を越えた

東京生まれの姪は
にごりのない
きれいなことばをはなし
お遊戯をするように
おばあさまはおはかに

屈託なく言う
そのひとみごしに
生いて重ねあわせ
なぜか
わたしは訛りを隠した


屋根から滴る雨粒が
芽を伸ばした
さんさじの木におちて
冬を越していく

昨晩降ったみぞれは
明け方には止むだろう
あなたのなみだが、
そらへ昇ったのだと気付く彼岸の雪に
わたしは、
わたしをおわらせる
の、だろうか
と問う

俺の目の黒いうちは
この家は壊させないと
言う父と共に
家に縛られ家で果てる運命を
ひどく恨んだ


かわいた咳の音で目を覚ます
閉じた襖の向こうで
昔の家はさむいだろう
さ、火燵に入れと
父の声がした

窓を開ければ
ゆるゆると
乳白の太陽が昇り
真冬の朝が
一番きれいだと
思ったのは本当で
それは
あなたが生まれた朝だからなのか
緩んだ陽射しは あなたのやさしさ
その時わたしは
はじめてゆるされた


おはようねぼすけさん
戸の間から覗くちいさな顔に
おいで、と言う
わたしは姪に
カーディガンを着せた
気が付けば
ひとり火燵で新聞を広げる
厳格でもある
父の背もすっかりまるくなって


真っ白な庭をみて
三月なのにすごいね
東京の雪は灰色しかないの

目をくりくりさせる

ねえさま、頬が赤いよと
凍えたわたしの頬を包む手に
北国の子どもは
生まれたときから
みんな真っ赤だとうそぶくと
それ、ほんとう?
と姪は嬉しそうに笑う

知っていた
それによく似た
わたしを見つめ、
困ったようにわらう瞳を


そしてわたしは
わたしをかたる
ゆるされて、はじめて
鼻先を赤くしたまま
祈りを捧げた






[編集]

手紙
 スミレ

道に迷うことは錯覚と無知によるのだとしてもまるで世界は幻燈のように見えた甘酸っぱく粘着する汚物のイメージと消費せよとばかりに囁く野暮なネオンサインに落胆しながらも暮れてく惑星のランプは境界という境界を曖昧にしてしまう
へっ詩人みたいだクソが

きたなくてやさしい街
どの人にも会話は少なくて電車は広く狭く人の息は場所を失ってケータイとかDSとか宙吊り広告とかとかとかに視線を合わせて気付かずに確信犯としてやわらかな首を傾けている隣をチラチラ見んなよおまえそうそこのおまえだイラッとすんだよ
街にはなんでもあるので外出は億劫だったけどギブアンドテイクだとかフィフティフィフティだとかワリカンだとかエンジョだとかで遠慮なく腰に手を回してくれた男の部屋に転がり込んだのが去年の冬
かあさんの味に似てきたなと父に言われた煮物は不評だったそれ以来カップ麺にスナック菓子をいろいろトッピングして食べてるよわからないもんだ大好評で私も幸せな気分になれる
時々は殴られる理由はよくわからないがたぶん私の胸が小さいからなのだろうパイズリってやつができないからって殴られるそれからトイレで吐く涙目になっていると背中を撫でてくれるから吐くのは嫌いじゃないむしろ好きといえる
私は平気だあなたもそうだといい誰かや何かを悪く言うことで満たされるのだけはまっぴらだからセックスしかすることがないからセックスしてるんだけどそれでいいと思ってる時々は殴られるけどね
うんウェディング・ドレスには憧れるよおかしいかなでもわかってる私には似合わないわかってるでもウェディング・ドレスには憧れる教会の柵越しに祝福の拍手を受ける新婦に貰い泣きしたのはここだけの秘密だ

さてお金も少なくなってきたのでまた電車に乗るよアキバで葱臭い野郎を路地裏に誘って脅せばイチコロなんだ触らせても減りゃしないカップ麺も買えるしそろそろ春だから新しい服も欲しい
へー驚いたね欲しいものがあったんだ私にもいいや別に欲しくないさ私は服が欲しいんじゃないしお金が欲しいのでもなくてなんてーのかなお腹が減るとさみしくなるからかな違うかもしれないけどとりあえずカップ麺を買う帰ったら体育座りして二人でテレビを見てそれからセックスしてシャワーして寝るその繰り返し意外と好きなんだけど自堕落だなんだと言われてあーもーうっさいよ角の丸い名刺もう使わんベンツもウザい

もう春だからねあいつのチャリで二人乗りしてスミレを捜しに行ったんだわ河原でスミレ捜しに飽きて缶ビール飲んで酔っぱらってセックスしてたら子供が不思議そうに見てたんで吹いた
こちらはだいたいそんなでそっちはどう相変わらずキリキリ舞いしてるん何か送ってくれるんならチャリの空気入れにして


あ、スミレ送るわ
見たことある?
てか、東京にも咲いてんだよスミレ
スミレ、いー名前だよなー
くふくふしちゃうよ
じゃまたねー



[編集]

失楽園
 長押 新


祖先の祟りが身体の中で眠っている。彼らを眠らせるために薬を飲み、その副作用で唾液を口に溜め込みながら、草原のなかに立たされている。草原はホテルの隙間に現れる、古い虚構の中に置かれた、アメリカの地雷。二流ホテルで働くわたくしはアメリカの他には国を知らない。第二言語として話すアメリカ語は日本人訛りが強く、アメリカ人だけがそれを笑う。
そのせせら笑う歌のような息遣いが、I still、そして祖先が強く眠る。草原に立たされていた、はるか眼下にもわたくしのようなものは居ない。誰もおられないのにわたくしは居る。そうしたこともあって、わたくしはアメリカの地雷を思い出した。地雷は幼い乳房のように、埋まったまま寝ている。わたくしは手前に転がっているヘルメットを被る。
深い疲労が、或いは医師によれば精神的免疫不全、もしくは、人々が言うには指先から血液を抜かれているために、その重さにふらついてしまう。筋力のない身体では地雷を踏めないことくらい聞かされていた。土の隙間から蜘蛛が身を風にあてるように這い出す。インクのように黒い蜘蛛であった。
一つの地雷に幾らの悲しみがあるのか、それは長い手紙のように文の始まりだけが大きく、萎んだOがRに飲み込まれている。爆発音さえ聞こえないのに、悲しみの声は届かない。他には誰もいない、わたくしは地雷を爆発させようとしている。ヘルメットを被る、取り除くために。
草原が膨らんでいくころ、足の裏にはたくさんの砂埃がつき、厚くなった皮の間には筋がみえる。白い筋だ。砂埃のための地面にはいくつもの手紙が地雷とともに埋められていることをわたくしは夢の中で知る。幻想と虚構の中の夢は、どこからもやってきた。誰も地雷が手紙だったのか手紙に地雷が添えられたのかは覚えていない。皆が死んでしまったから、覚えていることができなかった。地面にも、木の根にも、文字らしいものはひとつもなく、そのかわりに歌や踊りが、点々とあらわれていた。沈み込む、ヘルメットの重さで地面へ沈み込む、点が蜘蛛の小さな子供等であるのに、踏んでしまってから気がつく。沈み込む、わたくしは地雷になる。苦しくもないまま、手紙となる。たくさんの手足や命が奪われていく手紙に。手足はやがて影絵のように砂埃の中から生えでる。わたくしはそれが見たい。
その時になると祖先は目覚め、上司が優雅に珈琲をすする、ノーゲストのラウンジに立たされている。珈琲の香りはすでに仕事の匂いに変わり果て、そこにはいつも剣呑さを感じた。照明と光とが筋になり、置かれた観葉植物やシュガーポットを照らす。積み上げられた伝票に、目を通さずにわたくしのものではない印鑑を押し続ける。珈琲のようなおまえら、と指の白い上司は言う。わたくしは手紙を書く、観葉植物にあてて。とても器用に人を傷つける術を、この時、わたくしですら心得ていた。アメリカ、を遮断する壁が喉元から舌にかけて腫れ上がる。とても吃らずにはいられない。
眠りましょう、眠りましょう、祖先はわたくしの自由を食い尽くすように、わたくしを草原から引きずり戻そうとする。「あの草は血を吹いているの?」あれは花だよ。「こんな所に花が咲くのかしら?」咲いているのに咲いていないことはない。「花は歌うかしら」歌があったら歌うよ。草にしがみつくように、一つの花が咲いている、祖先のために赤い薔薇が咲いているのだ。わたくしはそれが見たい。そこではそれをわたくしのために摘み取ることが、わたくしにはできる。
ベンジャミン・ライナスが何度も執拗に繰り返す無実の人々にわたくしは含まれているのだろうか、裸のまま両手をあげて近寄ろうとする。乳房の奥に瞳があるのか、わたくしは見つめ合う。足の裏を見せてほしいと彼は言う。靴は履いたままだった。恥ずかしい唇と心臓が飛躍していくのがわかる。わたくしは珈琲を客に運ばなければならない。アメリカから運ばれて来た珈琲だ。祟りなのかしら、足の裏が踏んでいるのは美しい絨毯。破裂する喜びのなかにうまれていた。




[編集]

昨日の次は明日
 マルガリータ
 


病院の裏庭から続く暗い堤防は大きく曲がり海へとひろがる
ちいさな砂浜にはまだ裸足の足跡が残っていて
そのうっすらとしたふちから静かに溢れるものがいとしくておそろしくて
お気に入りのワンピースの裾をぎゅうと握る



かつて沖合いには白い馬と青いシーツが溺れた真似をしていました
笑いながら
開いた掌に白詰草赤詰草、
渡されたその葉の皺を伸ばせば
清潔な貧しさが報われたように歌い始める
歌にはいつだって聞いてくださる人の方角があって
ものがたりの続きを待つ瞳がそれを
いつまでもいつまでも聞いていました


※(中略)


 最初から約束ではなく、それぞれの微熱だった。春の汽船にはいつだって乗れると確信していた女は、手鏡の中で溜息になった。太い首の男は居心地の悪さに耐えかねて波止場から姿を消した。あとには鴎の鳴かない海だけが残った。これはそれからのお話。



埃だらけの部屋で手紙を待つ、その頬の端に残る僅かな塩を改めて舐めてみるといいです
綺麗にぎっしりと並んだ白い歯と
不似合いなきわどさで地酒を啜る唇の赤
夜になると起きて指という指で砂浜に根を探して
怯えながらちいさく唸る、上目遣いで
指という指は、それから針になる先の尖っているやつカギカギになってるやつよくわからない色の、そう、血のような古釘のような、たしかに途中まではみなうつくしかったはずなのに

そこにはかつて乳房があって
そこにはかつて指があった

わかります
嘆いているのですね
窒息しそうな期待は角を曲がり
開かれたものをまたさらに開く、色褪せないのは嘘で脚色しているからよ
ううん、違うわ、そうじゃないそうじゃなくて


※(中略)


あたしの指はクリトリスを触り、鼻の長いイヌのぬいぐるみがそれを見ている

それからは
ちっともおなかがすかないから本を読むの
兵隊さんの胸ポケットにはいつも恋人の写真があって、わかるけど不思議だしひどく疲れるわ
わからないわからない
びっこの仔猫はなぜカワイソウでなければならないの

ああ、またか
「コッチヲミナイデ」さんと
「モットワタシヲミテ」さん
こんにちは
なにかしらお説教を呟いているのは同じなのに波の音が煩くて聞き取れないのごめんなさい
ごめんなさい
知っていたのにあなたに隠していてごめんなさい
背中から這い上がって容易く左胸に届く
くすぐったい笑い
またね
またなの?
また鬼になって
顔を覆っているのは誰の顔かしら
ねえ、センセイ?

地球儀を得意そうに回していたはずの男がいて、予感を畏れてカワイイモノを撫でていた女がいました
「いましたか?」
「いました」
「いましたね?」
「います」



そんなに遠くには行かないよ
指は忙しく動いて、わたしを問い詰める
いよいよ海は深くなり朝から忘れられない歌を諳じる
産卵は痒いわ、湿った布団は大キライ、まっすぐに立てないから、もう花も買いに行けやしないから
だから

だから?

丁寧に長い髪をほどく
手を洗っても洗っても
海は深くなる
シャワーの後で、褒められた服を並べて
冷たくなった携帯を胸に抱く
名前を呼ばれた
ような気がして振り返るその度に
海はますます深くなります



お母さんが泣いてお経を唱え始めると頭が少し痛くなるのでやめてほしいけれどやめてとは言えない、お父さんは手を繋いだりケーキを買ってきてくれたりするけれど、わたしはお父さんもお母さんもニセモノだと知っているから早くおうちに帰りたいの



あなた以外の声が、指が、怖くてたまらない

椅子は魚の死骸に似ています、だって椅子は水に浮くし喋らないから好き、食べられないから好き、ね、おんなじでしょ?

「あなたが、しましたか?」
「あなたは、しましたか?」
質問は大キライ、センセイ、針は近くで見ると、よく見えません、でも遠くから見るとすごい綺麗なんじゃないかなぁ?


萎えた脚でよろよろと漂う、うまくジッとしていられないだけだからそんなにいちいちビックリしなくても大丈夫よセンセイ、わたしの針はとてもチクチクしているので甘く喉を鳴らせて舌で崩れるから声が出ちゃうの、ごめんなさいごめんなさい、わたしすぐ声が出ちゃうの、説明はムツカシイのと明日は手術だから不安なの椅子の話はもういいのかしら?



センセイ、手術はキモチイイですか?キモチワルイですか?それとも手術ですか?

「はい、もちろん手術は気持ち良いですよ」

スラスラ答える人は信用しない、もし嘘だったらセンセイにも針を見せてあげるからね



手術はキモチイイ、手術はキモチイイ、チクチクするかな?手術もっとして!センセイ、手術もっとして!センセイ、センセイ、センセイもキモチイイにしてあげたいです、してあげます



知らなかったでしょ?
海はとてもふかい







[編集]

Mのオマージュ3
 榊 一威
、気づいたとき、ぼくは、あなたのコトバの中にいた、

過ぎてゆく時代の中で、あなたのコトバはいつも、心に響いていた、
寂しさの紛らし方も、詩の作り方も、背中の翼の使い方も、
全てあなたから教わった、といっても過言ではない、
だから本当は、なくしたくないんです、あの日、震えたコトバのチカラを、ぼくは、
ありありと覚えています、から、

目が覚めると、おもいきり全速力で走りたい衝動にかられた、
そんな夏の日、小さく折り畳んだココロを広げた、ときの震撼は、泣きそうになったくらい、
殻を割った雛は、ほとばしるように、駆けてゆく、
救われていました、あなたのコトバで、しらないうちに、
癒されていました、あなたの声に、あたたかく、少しハスキーな、

アイスクリームみたいに、溶けていくとき、ぼくは、できるなら、
あなたと手をつないでいたい、そんな時だからこそ、

返事をください、
気がつかないフリも、ナシ、で、

それは奇跡、でした、

ヒトの波のウネリにまかれたときも、忘れたときはない、、
、でも、どんなに手を差し伸べられても、オトナになってしまうよ、

鮮やかだった声が、いつの間にか、とぎれとぎれになってきている、
生きていかなければならない、あなたの声を、閉じ込めたまま、
それがオトナになることです、あなたは、絡めた指を、ゆっくりほどいていく
ぼくは、明けない夜に、独り凍えて、しまう、のに、

零れ落ちる泪が、飴玉に変わる、甘い匂いが、広がってゆく、のを、
届いた、というのでしょう、ぼくは、この世界で、何も知らないふりで、
何故だろう、変わらなければ、あえないのですか、
離ればなれになるときは、笑っていられない、よ、、

橋を渡ると、その向こうはどういう景色なんだろう、
哀しいくらいに蒼く晴れた空が、ひろがっているのだろうか、
あなたには見えていますか、この瞳に曇りはないか、
この押しつぶされたような、ココロの揺れに、ノイズは響かないか、

空を見上げると、
あなたはいつも、ぼくの一番真ん中にいた、のに気づく、
あの夏の日のように、


[編集]

[次ページ]
投稿する
P[ 3/4 ]


pic/北城椿貴
top banner/吉田群青
under banner/町田アキラ

[詩人名や作品名で検索出来ます(2010年1月号)]




[管理]














[掲示板ナビ]
☆無料で作成☆
[HP|ブログ|掲示板]
[簡単着せ替えHP]