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06-25 21:14
 【文盲の系図】
By spica1004 [編集]


鉛色の空の下で
濁った川がよどんでた

生まれたとき氷よりも
冷たい視線を浴びた

憎しみすらない無表情な声
むごいほどの同情

支配するものが理解しないなら
ここで終わる約束

地を這うもの 血を継ぐもの
文盲(もんもう)の系図を背負う




明日も多分ここに立って
あなたのことを待つだろう

言い尽くせぬ思いだけが
静脈の血の色になる

記憶をたどれば 恐ろしい残滓
半固定の深海

進化するものが認可しないなら
逆行する法則

地を這うもの 血を継ぐもの
学名のない悲しみ

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00127


06-15 21:01
 【夢の狩人】(抜粋)
By spica1004 [編集]


川のなかを見てごらん
野をゆく川を

透明な水のなかを
泳いでいるよ

覚めたくない夢だよ
つかまえようよ

たぶんみんなこうして
歩いてるよ


人の汗を見てごらん
貴い汗を

愛する家族のために
働いてるよ

気高すぎる夢だよ
なんにも言わず

疲れている瞳で
笑ってるよ

・ 
流れる血を見てごらん
慈悲深い血を

命の重さを伝え
チューブを走る

かけがえない夢だよ
生きていこうよ

分けられない痛みも
分けたいんだよ

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00126


06-12 05:49
 【鋼玉】コランダム
By spica1004 [編集]


少女は
母の持ち物の指輪を
そっとはめてみる

誰もが
そんな悪戯を
通って生きてきたんだね

臆病とか怯懦(きょうだ)とか

どうでもよかった航跡




扉を開けた 三面鏡
禁忌と慚愧(ざんき) 交差する

残酷よりも甘美な血
集めて輝く宝石

恭順(きょうじゅん)とか彌縫(びほう)とか

どうでもよくなる光量

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00125


06-10 21:02
 【滑石】かっせき
By spica1004 [編集]


生まれてくるとき
母の声を聞く

洗礼(先例)をうけて
ひとの世に入る

幸あれと
祈りの声

平穏(やすらぎ)は
二度と来ない




滑らかな肌をもって
生まれれば

不幸せなどは
知らずにいたものを

休めよと
産土(つち)が告げる

「滑石の色をあげる」

欲しいのは
滑石の‖‖‖

────
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00124


06-08 20:09
 【この挨拶】
By spica1004 [編集]


薫風<くんぷう>は森を抜けて
海に還っていった

おのおのの家の窓に 
愛が湯気をたてる

とどけ歌声
この挨拶

ありがとう また
この挨拶


淋しさに親しむほど
人は優しくなれて

夕暮れに頭<こうべ>垂れて
明日の歌に変える

とどけ歌声
この挨拶

途切れるな まだ
この挨拶


慧眼<けいがん>の人の胸に
瓔珞<ようらく>の音を聞き

清浄の掌<たなごころ>に

寳珠<ほうじゅ>輝くを観る

とどけ歌声
この挨拶

まぎれるな まだ
この挨拶

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00123


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