投稿する
[*前] [次#]

10-04 19:51
 【東北】
By スピカ [編集]



夕暮れまでに帰れよと
我が子に叫ぶ母がいた

故里の冬
 
帰ろうか
 帰ろうよ
  帰ろうか
   今のうち  
東北へ

地面の匂い
時となく
雪をちりばめ
混じりあい
指を凍らす

雪が降る
 雪が降り
  昔いた
   人を呼ぶ  
東北へ

心に深く
突き刺さり
敗れた者を
認めない
故里の冬

心を遠く
突き離し
敗れた者を
許さない
故里の冬

──────
──────

00064


08-31 20:36
 【オレンジ・アワー】
By スピカ [編集]


午後の花園には透明な愛が育つ

けれども熟さないうちに
夕暮れの風がすり抜ける

それはオレンジの時間
僕によく似合う光

勇気と力を欲しがれ
拳を握れ さりげなく

思い出は音楽にまかせて
もう一度翼を試そう

思い出せ 真実の痛みに寄り添う微笑を


手紙ひとつ書けず
遅咲きの花も終わる

そうして暦が替わると
短日植物はじけだす

それはオレンジの世代
僕の土壇場の祈り

自分に自分を投げ出せ
のたうち回れ 笑いつつ

伝説は役に立たないから
もう二度と言い訳はするな

見苦しい愛もあることだけ
わかっていればいい

それはオレンジの気候
僕の初歩的な希望

秘密も本音も疑え
暗中模索 もがくだけ

ホラ吹きがはびこる時代に
翻訳の聖書はいらない

沈黙が罪でないことまで
宇宙に誇りたい

─────
─────

00063


08-21 22:34
 【琥珀】
By スピカ [編集]


記憶を
地図の上で確かめ
印を打つ謎解き

あなたはどこなのか
(わからない)

地底に潜む琥珀の嘆き

声にならぬ愛

黄金を掘る人の
砂のような涙を
吸い上げ色を獲る

琥珀たち


再び
鑿(のみ)をふるう旅人
疲れ果てる神々
夢みてる

あちこち掘るけれど
(出てこない)

息を詰まらせ
のけぞる人の
最後にあげる声

殺され埋められた
命の集まりが
固まり色を獲る

琥珀たち

────
────

00062


08-21 22:08
 鋼玉(コランダム)
By スピカ [編集]


少女は
母の持ち物の

指輪をそっと
はめてみる

誰もが 
そんな悪戯を通って生きてきたんだね

当たり前の現実が
とても眩しいこの夏──


扉を放ち
鏡台の
向こうに気づく
銀の針

心は
人と連絡し
瞳は
軽く閉ざされる

実像しか愛せない
雑念は滅したから──

──────
──────

00061


08-17 21:04
 【月が走る】
By スピカ [編集]


夜を走るなら
月に背を向けろ

けばだつ心に
月は優しすぎる

楔(くさび)を打ち込め 
胸の真ん中に

呼び捨てにできる
名前はもうない

澄みし水よ
光を受けて
翳る心に灯る
歌に変われよ

みな幸ある人でいるか

流れにまかれる影でないか

そこは寒いのか
温もれないか


誰も顧みぬ
僕の歌だから

誰も顧みぬ
君のために唄う

鏡よ砕けろ 
正義を示すなら

翼を得るとき
僕は駄目になる

澄みし水よ
光を受けて
かたち残すものの
挽歌になれよ

失うものはせめて少なく

見落とすものはせめて小さく

そこは遠いのか
触れあえないか

────
────

00060


[*前] [次#]
投稿する
P[ 22/34 ]


第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」