・
出来屋敷<できやしき>公園に
続く坂道を行けば
どんな悲しみだって
心をすり抜けてゆく
水源地のあたりは ※
蛍が橋を渡る
時計も遅く回る
生まれてきてよかったよ
あなたに会えたときの喜び
繰り返すため 歌を歌う
光があふれ 世界のかたち
見えなくしても
歌声は続くよ
─────
※水源池の誤りではない。水源地で正しい。
─────
00122
・
買い物行きたいね
自転車乗りたいね
猫と遊びたいね
掃除もやらなきゃね
僕が歌うのには
地球は重すぎる
君の合い言葉は
百も知ってるけど
ああ、彼方に夢の世紀
君だけを信じてる夢の世紀
・
・
珈琲飲もうかな
mixiやろうかな
布団も干そうかな
墓参りも行こう
大きな蜘蛛の巣が
地球をだめにする
僕は誇り高く
文盲になりたい
ああ、彼方に夢の世紀
君だけを信じてる夢の世紀
─────
─────
00121
・
混みあう国道
山に向かってステアリング
そこから始まる
蒼い夜のハイウエイ
深い悲しみを
クレスタに乗せたら
星の降る街に
さよならと言える
鈴田峠までに
君のソアラを抜こう
鈴田峠までに
星を撃ち落とそう
・
・
空港の島は
人工にきらめく
君はいつだって
僕をだましてた
ハンドルはいつも
傷つかないほうへ
溜め息にまかせ
浅く切ればいい
多良見インターまでに
君の嘘を暴こう
多良見インターまでに
夢を見限ろう
深い悲しみを
助手席に乗せたら
君がいた街に
さよならと言える
─────
─────
00120
・
すべて燃えた
すべて消えた
深い悲しみから
生まれた「いのち」
ひとしずくの
露のなかに
ちいさな胞子が
つくられました
春がきました
・
・
誰もいない
誰も来ない
黄泉の国のような
静寂<しじま>の朝に
鳥が鳴いた
一羽だけで
たった一羽だけで
鳴いていただけ
春が来ました
────
────
00119
・
遠い日は広い河の
岸で悔し泣きしていた
キラキラと憎いほどに
河はまぶしく光ってた
僕はやがて ずるいことを覚える
だけど待とう
濡れたシャツを冷やす風
歌を創れ 歌に還れ
軽い羽を取り戻そう
いま心のon the mark
───────
───────
00118