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04-29 20:21
 【飛鳥】
By spica1004 [編集]


水を渡せ神々
ここは言霊<ことだま>の国

飛鳥を知恵で満たし
大陸を近づけろ 

非時香果<ときじく>の実のなるところ
やまと美<うるわ>し

斑鳩の白き道のうえに
春の陽射し

豊聡耳<とよとみみ>の理想<ゆめ>

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・ときじくのかくの木の実・・・・・・垂仁天皇が求めたという不老不死の果実。タチバナだと推定される。

・豊聡耳・・・・・・聖徳太子のこと。

斑鳩は法隆寺の建つ地で、飛鳥とは離れているが、太子は愛馬の黒駒で通勤していたというから、ひとくくりにしてください。

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00117


04-24 05:50
 【 目覚めるまえに思い出して】
By spica1004 [編集]


目覚めるまえに思い出して
このわたしの面影を

起きてもいない寝てもいない
そんか時にきっと

目覚めるまえに思い出して
わたしは夜会いに行く

遠い姫路の空を越えて
あなたが呼ぶならば

古里はいま 古里はいま
丈を競う草木

暦を越えて 季節を越えて
伸びる若い芽


目覚めるまえに思い出して
幼なじみのわたしを

心のままに風をおこす
ことができるならば

目覚めるまえに思い出して
あの時かけた呪文を

昔のように涙みせて
悔やみきれぬほどに

古里はもう 古里はもう
悲しみのない光

言葉を越えて 心を越えて

あなたに会いたい

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00116


04-23 06:48
 【筑紫野】
By spica1004 [編集]


懐かしむような
イナサの風が吹く
筑紫野に春の花を呼ぶ

アヅミの心に刻まれた
あえかなサナギの歌
歌わせる

旅人は故郷に立ち止まらない
風待ちは必ず終わる日が来る

ワタツミは潮路に舟霊(ふなだま)を招(よ)び
神々を小舟の舳先(みよし)に祀(まつ)る

海の果ての邪馬台(クニ)を目指せ

天ツ筑紫野は弥生の風の中

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イナサ・・・東南の風
アヅミ・・・海洋民族
サナギ・・・銅鐸みたいなもの、楽器
ワタツミ・・・海の民
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00115


04-16 06:43
 【力を欲する者たちは】
By spica1004 [編集]


大袈裟なほどハンドルを切る
水面に刺さる大粒の雨

いつか見た空 思い出せない
ひとりで探す私の希望

力を分けてくれるなら
たとえ悪でもかまわない


泣けばよかった 泣けた季節に
まぶしいほどに過去は輝く

切れ端ばかり集めたような
意味のない都会(まち)走り抜けたら

力でねじ伏せてしまえ
名前で呼べるもの すべて

力で滅ぼしてしまえ
言葉にできないものまで

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00114


03-27 21:53
 【この町に来ないで】
By spica1004 [編集]


経済学部のあたりは
風が真夏を連れてくる

学生通りを渡って
私の窓に吹き寄せる

不安な心のまま
この町に来ないでね

ためらう言葉なんて
定義不能だから

わかってくれるなら
帰去来(帰りなん、いざ)片淵へ

わかってくれるなら


済生会の門からは
悩みのない空が見える

杖がわりの乳母車で
年寄りたちが闊歩する

彼女を想いながら
この町に来ないでね

未知数の愛なんて
二律背反だから

わかってくれたなら
歸去來(かえりなん、いざ)片渕へ

わかってくれたなら
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経済学部・・・長崎大学経済学部
済生会(さいせいかい)・・・総合病院の名前
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00113


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