エターナルゾーン日記板
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[2]
By TUINDAYO
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燃え盛る炎が夜空を赤く染めていた。
遠くから聞こえる悲鳴。
剣戟の音。
そして――死の匂い。
女は震える腕で幼子を抱きしめていた。
胸元に抱かれた赤子は何も知らず、小さな寝息を立てている。
その隣には、一人の男。
血と泥にまみれながらも、その瞳だけは強く前を見据えていた。
女は震える声で尋ねる。
「絶対に……絶対に守ってみせるよ」
男の言葉を聞き、女はかすかに微笑んだ。
「絶対、よ?」
その問いは確認だった。
願いだった。
祈りだった。
男は力強く頷く。
「ああ、必ずだ」
赤子を見つめる。
「立派なアストラ人にしてみせる」
女の瞳に涙が浮かぶ。
「ありがとう……」
その瞬間だった。
ガチャッ!
乱暴に扉が開かれる。
「居たぞ!」
鎧姿のゴーラ兵が叫ぶ。
「アストラ人も一緒だ!」
数人の兵士が雪崩れ込んでくる。
「全員殺せ!!」
男は咄嗟に前へ出た。
「!!」
女も立ち上がろうとする。
だが傷だらけの体は言うことを聞かない。
「くっ……!」
女は歯を食いしばった。
そして男へ叫ぶ。
「早く!早く逃げて!」
「何言って――」
「ここは私がなんとかする!!」
男の顔が歪む。
無理だ。
誰が見ても分かる。
彼女は既に限界だった。
衣服は血に染まり、呼吸も荒い。
それでも女は赤子だけを見つめていた。
「私はもうダメよ……」
静かだった。
諦めではない。
覚悟の声だった。
「お願い、あなた」
男の拳が震える。
遠くで剣が振り上げられる。
時間がない。
男は唇を噛み締めた。
「ぐっ……!」
そして。
「ちくしょおおおおおおおおおおお!!!!」
叫びながら駆け出した。
幼子を抱きしめて。
背後で金属音が響く。
振り返ることはできなかった。
――――――――――
しばらくして。
静寂が訪れる。
ゴーラ兵たちが倒れた女を見下ろしていた。
「ちぃ」
一人が舌打ちする。
「奴は逃がしてしまったか」
ブラッディナイフを抜く。
「まあいい」
刃先が月明かりを反射する。
「あんなやつら、いつでも殺せる」
女は薄く目を開いた。
もう視界は霞んでいる。
体も動かない。
それでも。
唇だけがわずかに動いた。
「あの子は……救世主……」
兵士たちは気づかない。
女は最後の力を振り絞る。
「きっと……エバンの地に……安寧を……」
意識が遠のく。
最後に浮かんだのは。
幼い命の姿だった。
「頼んだわよ……」
かすかな笑み。
そして。
「レイン」
女の声は夜の闇へ溶けていった。
[返信] [編集]2019 03-05 23:19 [Android]
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