エターナルゾーン日記板
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[54]
By TUINDAYO
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宿の一室。
窓から差し込む柔らかな夕陽が部屋を橙色に染めていた。
その暖かな空気の中で、エレナはじっとグルンガを見つめていた。
「じーーー...」
小さな身体を揺らしながら見上げる視線に、グルンガは眉をひそめる。
「なんだその目は、喰われたいか」
低く唸るような声。
だがエレナはまるで気にしていない。
むしろ興味津々だった。
その様子を見ていたリッカは肩を竦める。
「なら仕方ないわね」
悪戯っぽい笑みが浮かぶ。
「当面はあんたが面倒みなさい、グルンガ」
「なぜ我が...」
不満げに唸るグルンガへ、リッカがそっと顔を近づけた。
「あら!いいのよ〜?別に聞かなくても」
そして小声で囁く。
「あと一人称は『オレ』を使いなさい。目立つでしょ」
「くっ..」
屈辱に顔を歪めながらも、グルンガはエレナを抱き上げる。
すると。
「うふふっ」
エレナは嬉しそうに笑いながらその胸へ頬を押し付けた。
「あったかーい」
ぴとー。
遠慮の欠片もない。
「な、中に入るな!」
グルンガが慌てて後ずさる。
まるで少女の方が厄介だと言わんばかりだった。
その様子を見ていたレインが思わず吹き出す。
「なんかあの二人..主人とペットみたいだよね」
隣でルーデルも小さく笑った。
「ペットというには強面すぎますけどね..」
リッカはそんな二人を横目に見ながら話を戻す。
「分からないなら本人に聞くのが手っ取り早いわね」
その瞳が鋭くなる。
「キースを締め上げるわよ」
そして腕を組んだ。
「まずは奴の情報探しね」
◇
それから数時間後。
ラプトの町を歩き回った一行だったが。
「ダメだ..全く情報がないよ」
レインが肩を落とした。
夕暮れの石畳を歩きながら、ため息を吐く。
住民たちはキースの名前を聞いた途端、露骨に表情を曇らせた。
ある者は足早に立ち去り。
ある者は聞こえなかったふりをする。
まるで見えない壁があるようだった。
「..ここの住人はまるで」
リッカが周囲を見渡す。
「キースの事を話したくなさそうね」
眉間に皺が寄る。
「口止めでもされてるのかしら」
「エレナさんに毒を盛るほどの相手です..」
ルーデルが小さく呟く。
「おかしくありませんね」
重たい空気が流れる。
その時だった。
「レイン..レイン」
サンがレインの服を引っ張る。
何やら荷物を漁っていた手を止めていた。
「?どうしたのさ」
「あっちあっち。。」
サンは小さな指で路地裏を示した。
「明らかに怪しいッスよ」
そこには黒い外套を纏った数人の男達が足早に歩いていた。
人目を避けるような動き。
どこか不自然だった。
「なんだあいつらは..」
グルンガが目を細める。
「嫌な気配を感じるぞ」
リッカの表情が変わった。
「..!」
次の瞬間。
「後をつけるわよ」
◇
ラプト南西地区跡地。
崩れた建物が並ぶ荒廃した区域。
人の気配はなく、吹き抜ける風だけが瓦礫を鳴らしていた。
一行は倒壊した壁の陰に身を潜める。
「こんな人気のないところに三人で何をするんだろう..」
レインが小声で呟く。
「しっ」
リッカが制する。
「誰か来るわよ」
足音。
そして。
「いやあ、すまない遅れてしまった」
聞き覚えのある声が響いた。
「誰にもつけられてないだろうな」
「ああ、問題ない」
姿を見た瞬間。
リッカの目が見開かれる。
「あれは───キース!」
「ま、間違いないッス」
サンも小さく震えた。
(あいつが..キース!)
レインは初めて見るその男を睨みつける。
「早く物をよこせ、話はそれからだ」
外套の男が冷たく言う。
「わ、分かってるよ..ほら」
キースは袋を差し出した。
「これだけで30人は捕らえられるだろう」
男達がざわめく。
「フフ..確かに受け取った」
嫌な笑み。
「お前たち、中身を確認しろ」
そして再びキースへ向き直る。
「....では、もう一つの方も渡してもらおう」
「僕の家の執事がつれてくる..もうすぐ着くはずだ」
「信用できる者だろうな?」
「安心してくれ」
キースは口元を歪めた。
「時間もあることだし、そちらを先に渡してもらいたい」
「..まあ構わんだろう」
男が合図を送る。
「おい」
「はっ!」
その瞬間。
「オラ、さっさと歩け!」
鈍い蹴り音が響いた。
「グズグズすんじゃねえ!」
「うっ...」
引き出されてきた人影。
ボロボロの服。
うつむいた顔。
その姿にレイン達は息を呑んだ。
「くふ、くふふふふ」
キースが不気味に笑う。
「これで俺はマーサルの野郎に..」
「きゃっ..むう!!」
思わず声を上げそうになったルーデルの口を、グルンガが慌てて塞いだ。
「叫ぶな...」
(今まさるって..?)
レインの胸がざわつく。
その時。
リッカが静かに呟いた。
「みんな、落ち着いてよく聞いて」
その瞳は鋭く細められている。
「あれは間違いなくモンスター..」
一拍。
そして。
「【ゾンビ】よ」
空気が凍り付いた。
誰も言葉を発せない。
その沈黙を裂くように。
キースは目の前の人物へ微笑みかけた。
「久しぶりだね..エマラさん」
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[返信] [編集]2019 03-06 00:47 [pc]
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