エターナルゾーン日記板
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[63]
By TUINDAYO
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宿屋の一室。
夜の静けさが窓の外から忍び込み、騒動の後とは思えないほど、部屋の中は落ち着いていた。
しかし、ルーデルの表情だけは晴れなかった。
「エレナさん..無事に戻れると良いのですが」
ぽつりと漏れた声に、リッカが腕を組んだままため息をつく。
「いい加減うるさいのよね」
言い方は冷たい。
けれど、その視線はどこか遠くを見ていた。
「今後のことを考えるとさっさと戻ってほしいわ」
「あ、あのー..リッカさん」
「?なによ」
ルーデルは少し迷うように指先を合わせた。
「気になってはいたのですが..そ、その」
リッカがじっと見つめる。
「何か目的があるんですよね..?
そのために私達に協力を..」
「当然よ」
リッカは当然のように言い切った。
「テキパキ働いてもらうつもりだから、ヨロシク」
「は、はぁ..ぁの..」
ルーデルは困ったように目を泳がせる。
(サンちゃんの王冠..直すのが先だよね。
そのつもりできたんだし..)
しかし、そんな内心などリッカにはお見通しだった。
「なによ、なんか文句でもあるの?」
「はわっ」
ルーデルの肩が跳ねる。
「な、ないです」
「ん、よろしい」
リッカは満足そうに頷いた。
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「はー..すっきりした」
廊下の奥から戻ってきたレインは、軽く伸びをしながら部屋へ入った。
「あれ、居ないのサン?」
きょろきょろと周りを見回す。
「何か言いたげだったんだけどなぁー」
その時。
コンコン。
控えめなノックが響いた。
「はぁーい」
レインが扉を開ける。
ガチャ。
「失礼するよ」
「わっっ誰!?」
そこに立っていたのは、見覚えのある青年だった。
整った姿勢。
落ち着いた声。
村長のそばに控えていた人物だ。
「君とは初めまして、だったかな」
青年は穏やかに微笑む。
「私はエリオットというものだ。
以後よろしく頼むよ」
「えっと..レインです。
エリオットさん」
(この人..村長さんといっしょにいた)
「エリオで構わないよ、レインくん」
エリオは軽く頭を下げた。
「いきなりの訪問ですまない」
「どうしたんですか?」
「うちの者が迷惑をかけたこと、申し訳ないと思っている」
その言葉と共に、彼は深く頭を下げる。
「すまなかった」
「うちの者って..?」
「キース様のことだよ」
レインの表情が少しだけ固まる。
「君達が止めてくれたと聞いている。
感謝する」
「..はい」
返事をしながらも、レインは視線を落とした。
(僕はあの時何も..)
エリオはそれ以上踏み込まなかった。
「主は何か礼をしたいと言っている」
「礼..?」
「どうだい、困っていることなどなんでもいいそうだ」
「えー..うーん」
レインは腕を組んで考え込む。
(特に今欲しい物もないし..
あ、エレナが欲し..いやいやいやいや)
自分の考えを打ち消すように首を振った。
エリオは微笑んだまま待っている。
「じっくり考えるといい。
大抵のことは叶うはずだ」
「ウーーーン、今回は別になにも...」
「わーーー!!待ってス待ってス!!」
突然、廊下の向こうから叫び声が響いた。
ガチャ!!
勢いよく扉が開く。
「プラチナ鉱石おくれーー!!!」
飛び込んできたサンが、両手を挙げて叫んだ。
「おっと、君は確か」
エリオが少し目を丸くする。
(なんて地獄耳..)
レインは思わず冷や汗を流した。
「ふむ、プラチナ鉱石か..」
エリオは真面目に頷く。
「確かに貴重な物だが、主ならば用意できるだろう。
私から掛け合ってみよう」
「いいぃ〜やったぁ〜!」
サンはその場でぴょんぴょん跳ねた。
「よ、よかったね!サン!」
レインが笑いかける。
だがサンはじっとレインを見上げた。
「レ〜イ〜ン〜」
「え?」
「わすれてたっスねェ..?」
「ギクッ」
レインの肩が跳ねる。
「いや、そ、そんなことないよ?」
「父さんにチクるッス..」
「わっー!それだけは!」
レインは慌てて頭を下げた。
「ごめん!わすれてたっ!」
「フフフ..」
サンは偉そうに胸を張る。
「オイラは優しいから許してあげるッス。
と・く・べ・つ・に」
「ははーっ!汗」
そのやり取りを見ていたエリオが、思わず小さく笑った。
「ふふ」
「えっ?」
レインが顔を上げる。
「ゴブリンと人間..ここまで仲が良いのを見るのは二度目だな」
「オイラ以外にも..!?」
サンが目を輝かせる。
「ああ、あれはたしか..」
エリオが何かを思い出そうとした、その時。
トントン。
窓を叩く音がした。
「!ツキか..」
エリオが苦笑しながら窓を開ける。
ガラガラ。
「エリオ、今すぐ戻るわよ」
そこにいたのは、窓の外に立つ女性だった。
いや。
正確には、三階の窓の外に浮かぶように立っていた。
「うわーーーーーーーーーー!!!!!」
レインとサンの悲鳴が重なる。
「っ..いったいなに?」
ツキは怪訝そうに眉をひそめる。
「こ、ここここここ三階」
レインは震えながらサンに抱きついた。
「ひィーー!!」
サンもレインにしがみつく。
「あー..おいツキ」
エリオが頭を抱える。
「だからいつも扉からこいと..」
「四の五の言ってる場合じゃないわ!」
ツキはエリオの腕を掴む。
「とにかく来ーい!」
「うわ!ツキ!引っ張るな!
危ないだろ!」
「問答無用!」
「ちょ、待て!」
ぐいぐいと引っ張られながら、エリオは慌てて振り返った。
「あ、じゃ、じゃあ二人とも!
しっかり伝えとくから..!」
バッ!
二人の姿が窓の外へ消えた。
部屋に静寂が戻る。
「な、なんだったんだろう」
レインが呆然と呟く。
「ゴーストに取り付かれたに違いないッス..!」
サンは震えながら断言した。
────────────────────
その頃。
宿屋の外で夜風に当たっていたグルンガが、ふと顔を上げた。
「今のはなんだ..?
宿からか」
空を見上げる。
「飛んでいたような..気のせいか」
月明かりだけが、何事もなかったかのように静かに村を照らしていた。
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[返信] [編集]2019 03-06 00:55 [pc]
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