エターナルゾーン日記板


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[72] By TUINDAYO
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 朝の柔らかな陽光が窓から差し込み、部屋の中を淡く照らしていた。

「ふぁーあ..」

 マーサルは大きく欠伸をする。

 昨夜は久しぶりにぐっすり眠れた。

 目を閉じれば嫌な夢を見ることもあったはずなのに、不思議と昨日は違った。

(昨日は久しぶりに楽しかったな)

 家族と食卓を囲み。

 母親の料理を食べ。

 妹達の声を聞いた。

(家族ってのはやっぱいいもんだ、うんうん)

 そんなことを考えながら部屋を出る。

 すると台所ではマーサが朝食の準備をしていた。

「あらおはよう」

「おう」

「シービィとジービィ、起こしてきてくれる?」

「ああ、分かった」

 マーサルは二階へ向かった。

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「おーーい二人と..ん?」

 部屋の前まで来たところで足を止める。

 扉の向こうから声が聞こえた。

(起きてるのか?)

「昨日は上手くやれたね!」

 ジービィの声だった。

「うん」

 シービィが小さく返事をする。

「この調子であの人をよーく観察するのよ」

「うん..」

 マーサルは思わず苦笑した。

 ........なるほど。

(そりゃそうだよな..当たり前だ)

 自分が家を出た時。

 二人はまだ赤ん坊だった。

(あいつらに会ったのは赤ん坊の時が最後なんだ)

 昨日突然帰ってきた男。

 しかも兄だと言われても実感などあるはずがない。

(急に帰ってきて兄貴面されたら俺だって警戒する)

 むしろ当然だった。

(やっぱり兄妹だ)

 二人は二人で生きてきた。

 助け合って。

 支え合って。

(家を..母さんを守ってきたんだもんな..)

 マーサルは軽くノックした。

 コンコン。

「よう」

 扉を開ける。

「おにいちゃん」

 シービィが振り向く。

「どうしたの?」

 ジービィも首を傾げた。

「あー..なんだ」

 少しだけ気まずい。

「飯だぞ。母さんが待ってる」

「はーい!すぐいく〜!」

 ジービィが元気よく返事をする。

(なーんか俺の方が動揺してるような..)

 マーサルは頭を掻いた。

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 朝食の席。

「マーサル、あんた足は大丈夫なの?」

 マーサが心配そうに聞く。

「歩くくらいなら」

「そう...じゃあ」

「お母さんお買い物!?あたしがいくー!!」

 ジービィが勢いよく立ち上がった。

「あらあら、ジービィは優しいねぇ」

 マーサが目を細める。

「一人じゃ大変だろ、手伝うぞ」

 マーサルも言う。

 しかし。

「別に手伝わなくていいよー」

 即答だった。

「シービィも一緒だし」

「ん..」

 シービィが小さく頷く。

「そ、そっか..」

 マーサルは苦笑した。

 ジービィはそんな兄を見ながら思う。

(私達だけで十分なんだから!)

 まだ簡単には頼らない。

 でも嫌いなわけじゃない。

 そんな複雑な年頃だった。

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「マーサル、裏手にある木材持ってきてくれる?」

「ああ、それくらいなら..」

「ぁたしとってくるー!!」

 ジービィが飛び出していく。

 ダダダダダッ。

「元気だなぁ..」

「いつも...してるから..」

 シービィがぽつりと呟いた。

「二人はよくやってくれてるよ」

 マーサが微笑む。

「私が仕事に専念できるように、家事を手伝ってくれてるんだよ」

「へえ」

 マーサルは感心した。

「そりゃたくましいな」

「エマラもあんたもそうだったね」

 マーサはどこか懐かしそうだった。

「親孝行な子供を持って、あたしゃ嬉しいよ」

「姉ちゃんか..」

 自然とエマラの顔が浮かぶ。

(..二人で助け合ってきたんだな)

 シービィとジービィ。

 きっと自分の知らない時間が沢山あったのだろう。

「ところでマーサル」

「どうした?」

「あんたこれからどうするんだい?」

「どうって?」

「家に残ってくれれば凄く助かるんだけどねぇ」

 マーサは少し笑った。

「無理にとは言わないよ。

 あんたにも、居場所ができたんじゃないのかい?」

 マーサルは少し考える。

 旅で出会った仲間達。

 クマタカの同胞。

 みんなが待ってる。でも。

「しばらくはゆっくりしていくさ」

 そう答える。

「気になることもあるしな」

「ふふ..そうかい」

 マーサは安心したように笑った。

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 一方その頃。

 バロンズ邸。

「ようやくきたか」

 大きな屋敷の前でバロンズが出迎える。

「お、お邪魔します」

 ルーデルがぺこりと頭を下げた。

「それにしてもでっかい家だねー」

 レインは辺りを見回す。

 立派な庭。

 豪華な噴水。

 広い屋敷。

「主は代々の商売一家なんだから。当然よ」

 ナギサが胸を張る。

「それ、もう聞いたよ?」

「..相変わらず生意気だわ」

「へへーん」

 レインは舌を出した。

「あれ?一緒にいかないの?」

「あたしは仕事があるのよ」

 ナギサは腕を組む。

「お子ちゃまと違ってね」

「むむ」

「なんでもいいから早く行きましょう」

 リッカが呆れたように言った。

「やれやれ。こっちじゃ」

 バロンズが先導する。

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「そうよ〜、これが3才の頃のあなたよ」

 部屋の中では。

 ミナがアルバムを広げていた。

「わあー!この子かわいいね!お姉ちゃん!」

 エレナが目を輝かせる。

「そう!そうなのよ!」

 ミナのテンションが爆上がりする。

「エレナは街一番..いいえ、大陸一..いいえ!世界一可愛いのよ〜!」

 スリスリスリ。

「きゃはっ!くすぐったいよ〜」

 微笑ましい光景だった。

「うふふふ」

「おお...」

 その声にミナが振り向く。

「!!!!!」

 いつの間にか全員が立っていた。

「ア、アルバムを持ち歩いておるとは」

 バロンズが感心したように言う。

「相当仲がよいのかそれとも..?」

「わ、わわっやめてくださいバロンズ様..!」

 ミナの顔が真っ赤になった。

「?」

 レインだけが状況を理解していない。

「エレナさんが..元に戻っていません」

 ルーデルが言う。

 確かに。

 昨日より少し大きくなっている。

「いや..少し体重が増したようだな」

 グルンガが真面目に分析した。

「えっ?」

「もう少し包んで言いなさいよ..」

 リッカが額を押さえる。

「私の考えだけど、ルナクサ草を食べた人間はそれまでの過程を進み、少しずつ戻っていくようね」

「そのようだ」

 バロンズも頷いた。

「へぇー..ホント不思議だね」

「まったく、厄介だわ」

 そんな話をしていると。

「ときにミナくん」

 バロンズが口を開く。

「すぐにバスカルへ戻るのかね?」

「はい」

 ミナは頷いた。

「ナリウス様も他の皆も心配しているでしょうし..」

 だが。

「なあに」

 バロンズは笑う。

「しばらくラプトで骨を休めていくといい」

「そういうわけにも参りません...では、私達はこれで..」

「やーだー!!」

 ガシッ!!

「!?」

 グルンガの腕にエレナがしがみついた。

「おい離せ..」

「イヤ!いやなのー!」

「エレナ、ワガママ言わないの」

「お姉ちゃん...だめ?」

 うるうる。

 うるうる。

 うるうる。

 ............

 沈黙。

 そして。

「キャーーーー!!!!」

 ミナが陥落した。

「いいのよいいのよエレナ!当然よ〜!しばらくはラプトに居ましょうね〜♪」パシャ

「今..」

「何?」

「何でもないです」

 レインは危険を察知して黙った。

「決まりだ」

 バロンズが満足そうに頷く。

「あんた面倒見なさいよね、グルンガ」

「断る」

 即答だった。

「一番懐かれてるじゃない。これも契約の内ってことで」

「どうしてこうなった..」

 グルンガは天井を見上げた。

 誰よりも困った顔をしていた。


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[返信] [編集]2019 09-02 01:26 [pc]

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