エターナルゾーン日記板


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[79] By TUINDAYO
ーーーーーラプトーーーーー


 ラプトの朝。

 出発の準備を終えたルーデルたちは、屋敷の前で待っていた。

 だが。

「レインさん来ないですね...」

 ルーデルは何度目か分からないほど街道の先を見つめる。

 もう戻ってきてもおかしくないはずだった。

 しかし姿はない。

 リッカは腕を組んだまま鼻を鳴らした。

「どうやら期待外れだったようね...」

 少しだけ残念そうにも聞こえる。

「私だけでも行くわ」

 迷いはなかった。

「あんたたちは関係ないわけだし」

「エエ!?」

 サンが飛び上がる。

 ルーデルも慌てて前へ出た。

「わ、私達も力にならせてください...!」

 声は震えていたが、その瞳は真剣だった。

「困っている人を放ってなんておけません...」

 リッカは少しだけ目を見開く。

 そして小さく息を吐いた。

 その時だった。

「オイ、どうでもいいが」

 グルンガが片手でエレナを持ち上げる。

「こいつはどうするんだ」

「?」

 持ち上げられたエレナは何も分かっていない顔をしていた。

 リッカは即答する。

「少しは元に戻ってきたようだけど、そんなお子ちゃま連れていっても足手まといなだけよ」

 冷静な判断だった。

「あのミナとかいう女に返してきなさい」

「フンッ、当然だな」

 グルンガも頷く。

「そういうことだチビ」

 だが。

「いや!!!私もいく!!」

 エレナが全力で暴れ出した。

 ぶんぶんと手足を振り回す。

「むむむ...困ったっすねえ」

 サンが頭を抱える。

 そこへ。

「待ちなさい!」

 聞き覚えのある声が飛んできた。

 全員が振り返る。

「み、ミナさん!その格好は..」

 ルーデルが驚く。

 ミナは旅装束に身を包んでいた。

 いつもの巫女としての姿ではない。

 覚悟を決めた旅人の顔だった。

「私はエレナの保護者よ」

 迷いなく言い切る。

「当然付き合うわ」

 そして少しだけ微笑んだ。

「それに...借りもまだ返せてないもの」

 リッカを見る。

「テルミラの巫女として借りは作ったままではおけないわ!」

「おねえちゃーん!」

 エレナが飛びつく。

「ああエレナ〜よしよし/////」

 さっきまでの凛々しさはどこへやら。

 ミナは満面の笑みで抱きしめ始めた。

「ぐううっ...」

 サンが胸を押さえる。

「なかぜるっす...う!」

 感動しているらしい。

 しかし。

 ブキュッ!

「はぁ。仕方ないわね...」

 リッカの足が容赦なく顔面へ突き刺さった。

「すぐに向かうわよ」

 ぐりぐりぐり。

「鬼...」

 サンが床に沈んだ。

 ――――――――――

 同じ頃。

 聖地ザイン。

 山岳の間を進む一団の姿があった。

「ちょっとナギサ」

 ツキが呆れたように言う。

「あんた主の護衛任されたんじゃないの?」

「だってあんなとこ居てもつまんないんだもーん」

 ナギサは悪びれもせず答えた。

「護衛なんてオジン二人で充分でしょ!」

「みんなでピクニックだな♪」

 アッシュが上機嫌で笑う。

「いや任務な...」

 エリオは頭を抱えた。

「あとでどやされるぞこりゃ」

「ん〜?」

 ツキがニヤリと笑う。

「お父さん係は大変ネ笑」

「むっふふふ、とことん憂さ晴らししてやるわ...!」

 ナギサは拳を握る。

「はあ...」

 エリオのため息は深かった。

 だが。

 その空気が突然変わる。

「なんだか変だぞ...」

 アッシュが立ち止まった。

「アッシュも気付いた?」

 ナギサも同じ方向を見つめている。

「え?なに?」

 ツキが首を傾げる。

「どうした二人とも」

 エリオも周囲を見渡した。

 しかし何も感じない。

「上手く言えないけど...嫌な気が」

 ナギサの表情が険しくなる。

「この先からだぞ...」

 アッシュも珍しく真面目だった。

「...?」

 ツキはエリオを見る。

「エリオ、感じる?」

「いや...」

 だがエリオは首を振った。

(ナギサは感知術に長けてる...それにアッシュは勘のいい奴だからな)

 だからこそ。

 無視はできなかった。

(何が出るか...)

「とにかく慎重に進もう」

 全員の表情が引き締まる。

 ――――――――――

 一方。

 こちらも聖地ザイン。

「あの〜..サンちゃん?」

 ルーデルが困った顔をする。

「ムッ?」

「頭...お、重いです...」

 ルーデルが困った顔をした。

 いつの間にかサンが頭の上に座っていた。

「ハッ!!!」

 サンが飛び上がる。

「いや〜!オイラとしたことがついいつものクセでくつろいじゃって!」

「そんなクセの悪いゴブリン置いてけばいいのよ」

 リッカが冷たく言い放つ。

「ムカーーッ!!!」

「ま、まあまあ...」

 ルーデルが慌てて止めに入る。

「ぷんっ!!」

 サンは頬を膨らませた。

「あーあー!こんなことならレインを待ってりゃよかったっすー!」

 そして。

「...ンン?」

 急に辺りを見回し始める。

「どうしたの?」

 ミナが尋ねる。

「そういえばグルンガはどこ行ったっすか?o(・ω・= ・ω・)o」

「あれー!」

 エレナが指差した。

 全員の視線がそちらへ向く。

「.....」

 そこには。

 小さな瓶の中へ閉じ込められたグルンガがいた。

「やや!そんなところに!」

 サンが駆け寄る。

 リッカが説明した。

「聖地ザイン...悪気があればたちまち幻惑に引っ掛かるわ」

 神秘に満ちた土地。

 それがザインだった。

「だからこうして瓶に入れてるのよ」

「ホェー、悪気!」

 サンが感心したように頷く。

「便利なこともできるんすねえ」

 そして瓶を覗き込んだ。

「ぷぷ、それにしてもちっちゃくて虫みたいっす」

 つんつん。

「あはは!」

 エレナが楽しそうに笑う。

 瓶の中のグルンガは青筋を浮かべていた。

「後でころす...」

 低い声だけが静かに響いた。

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[返信] [編集]2020 11-23 20:56 [pc]

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