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[1] 人間散歩/玲
By 玲
02-19 04:26


もう十年以上 何も変わらない
静かな夜と時計の刻む 音
君と呼べるような人は 人ではなくて
もう ただの過程の中で 針になる


風に流された空き缶が 自分に思えて
それでも決まった役割を持つ彼が
なんだか羨ましくも思える
そんな自分が嫌で 吐く白いため息


自動販売機の明かりが 優しげに歩道を温めている
腹に抱えたものは遥かに僕より 多いのにな
誰もいない寒空の寂れた空き地の真ん前で
母のような顔をした 彼女は
今日も子を世界に 吐き出そうとしてる


自由になろうとしたって 自由なままじゃ自由にはなれなくて
不自由に変わってしまう
不自由になろうとすりゃ
自由なんて 知らずに感じてたりもして


深夜の公園で 冷たさを吸いとったベンチに座ってる
冷たさを吸いとるために 暖かさを失ったのと同じく
今度は僕から 暖かさを奪ってく
そんなベンチのような
相互作用が 僕らを傷つけながら癒すのだろう


傷つきたくないことからさえ逃げ出して
傷いてばかりの 夜は繰り返して
僕は悲しみを知らない代わりに
優しさも知ることはできなかった


何も知ろうとできなかったから
僕らはもっとも苦しくて
誰も知ろうとできなかったから
誰にも知られることもなかった


きっとあの日 苦しみを選べば 楽になれただろう
きっとあの日 君を探していたのなら こんな夜でも
こんな寒さでも 僕らは 人になれただろう
僕になれただろう


十年を無為に過ごしても
何かに気づけたのなら
十年以上の価値はあるだろう
三十でも五十でも二十でも
人は人になれるだろう


そうやって動けない夜に鞭打って
同じような明日を求めてやまない
同じような明日から僕らは
違う昨日に 気付いていけるんだろう?


帰る場所も 分からない 深夜の
散歩道
すれ違うためにやってきた
僕の影が 笑う
笑う



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