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[1] 明日への奏で /玲
By 玲
02-21 21:18


ピアノ線に 切られた指先を
舐めとる君の唇に火を灯して
音のない世界に入り込んでいく
暗闇の海辺で 君は音符を書き連ね


その情景だけが 狂喜とともに 燃え尽きる


僕と君 最初から文字は別々を示していた
それでも僕は君に 君は僕になるためにもがいた
それは君を受け入れられない 弱さ
それは相手任せの狡さに近い


明日なんてなくてもいいだろう?
昨日がないのだから
都合がいいときゃ 今しか大事にできやしない
今しかなけりゃ 後も先もなく 今のまま


波の音と ソナタの第三楽章が響く
漂着した枯れ木には 明日があって
砂は光輝く 鏡
僕らは男でも女でもなくなりたかった


だから 男にもなった 女にもなった
目指すたびに 違うものになるから
君は 消えようとした
孤独と戦う方がいい 楽だからと


楽なんて 楽しくはなかった
悲しみは いつも側にいるから
僕は 君の悲しみになりたい


必要とされなくなっても
必要としたい
忘れられても
忘れないでいたい


忘れられないまま 感覚だけを喪失するのが嫌なのに
なくすために 生きる人生が 辛かった


それでもいいよと君は言った
ソナタは最終楽章を迎えてる
だから
人は幸せになるために不幸になると
僕は言う
そして
不幸になるために 幸せになりたいと
君は言う
不幸は 幸せと変わらないのと
だけど その意味が僕にはわからなかった


ピアノは焦げついて 明日がやってきた
あれから何年が過ぎただろう
明日ってなんだっけ
君は明日を迎えられたの?
僕は君をあれほど明日に連れていきたかったのに
君は昨日にばかりいるんだ
僕は昨日ばかり守ってしまうんだ


君は不幸さえ受け入れて
明日は君を受け入れたのか
明日から呼ぶ 君の隣には
僕はもういないのだろう
それでも僕は君を連れてくよ
昨日の幸せから 連れてくよ
例え明日が不幸だとしても
君の記憶を連れて
生きていくよ


そうやって いつかは
不幸さえ 違いさえ 入りきるような器になりたい
痛くてもいい 苦しくてもいい
それでさえ生きている証だからさ
今はそう 思えるよ
君がいない 未来でも




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