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[10]ユーロ(PT002)
【初めての街】
切り立った崖に囲まれ、街の中央には大きな川……と言うより運河が流れています。
街には背の高い銅像があちこちにあり、建物からは大きな帯状の布がかけられています。
布には規則的な紋様がありますね……民族文化の強い街のようです。
あちこちに目をやる僕にアルウ"ィンさんは呆れた様子でため息を吐きました。
「ちったー落ち着け。街は逃げやしないって。」
「だって街ですよ!これで寒さから解放されますし、旅の準備も出来ます!まずは宿屋探しですかね。」
「宿ならここを右だ。じゃ、俺は仕事の報告があるから……っぐ!」
そう言ってどこかへ行こうとしたアルウ"ィンさん。
僕は慌てて彼のコートを引っ張った。
「何す……」
「戻って来てくれますよね!まさか知らない街に一人置き去りにする、なんて非道なことしませんよね!」
「………取りあえず、その手を離そうか。」
「約束してくれるまで離しません!」
街に出たのだから後は一人でも何とかなる。
だけど、街の外の魔物を今後は一人で退治しながら移動しなければならない。
それは面倒だ。
旅を快適にするためにも、慣れない内は誰かに頼るのが上策です。
「………。」
「………。」
互いにジッと睨み合い、どちらが折れるかの勝負。
先に溜め息を吐いたのはアルウ"ィンさんでした。
「わかった、約束してやる。明日の朝、宿で落ち合うってことで良いか?」
「はい!ありがとうございます!」
「ったく、頑固なガキだ。」
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111018
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