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[13]ユーロ(pc)
【信頼は一日で得るものではないですね】
「この世界で銃を持ってる奴なんて、アルクノアに所属してるか、その関係者。でも、アルクノア、知らないんだろ?足に穴、開けられたくなかったら答えな。」
まさかの二日続けてピンチです。
このゲームの様な世界では、銃を持っているのが仇になったようです…。
――仕方ないですね。
痛いのは嫌だし、ここは正直に話してしまうのが穏便に済む気がします。
……軍や研究所に差し出されないことを祈ります。
「……わかりました、僕のことをお話します。ですが…ココでは人目につきますので、取りあえず場所を替えませんか?」
「良いぜ。その代わり、逃げようとしたら…ドン、だ。」
「わかりました。」
アルヴィンさんはそう言うと銃を静かに僕から外してくれました。
その後、終始無言で朝食を食べ、アルヴィンさんに連れられるままやってきたのは、街を出た街道。
幸い魔物にも見つからず、街が遠目になったところでアルヴィンさんは歩みを止めました。
振り返って僕の方を向いた彼は、やはり無表情。
「さて、話してもらおうか。」
「…最初に言っておきますね。」
「あん?」
「これから話すことは全て本当のことです。信じていただくほかありません。もし、信じられないと思うなら撃っていただいても構いません。全力で抵抗はさせてもらいますが。」
そう言って笑った僕に、アルヴィンさんは早く話せと言わんばかりに僕を見ます。
僕はアルヴィンさんの目をジッと見て話し始めました。
「僕は、この世界の人間ではありません。もっと遠くの世界から来ました。」
「…リーゼ・マクシアの外から来たって事か?」
「アルヴィンさんの言う“外”がどれ程を指すかはわかりませんが、分かりやすく言うと僕は異世界人。少なくともこの世界に来てまだ二日しか経っていません。」
「二日…。」
「一之瀬家の長男は、十歳の誕生日を迎えると世界を渡り歩く力が宿ります。その力のある人間を僕らは“時間旅行者〜タイムトラベラー”と呼んでいます。
これまで渡った世界は八つ。ここの様に魔法や魔術といったものを使用するところもあれば、銃火器をもつ近代的文化の世界もありました。世界を渡る条件はたった一つ・・・・・・その世界で一年を迎えること。つまり、僕はあと一年経たなければ他の世界には渡れない。
もう一度、故郷に戻るためにも、僕は生きなくてはいけないんです。と言っても、渡る世界がランダムなのでいつ戻れるかは知りませんが。」
「……。」
「無事、この世界に到着したのは良いのですが、運悪く空からダイブする羽目になりました。それからアルヴィンさんに会うまでの話は、昨日話したとおりです。」
そう言い終わった僕は、ジッとアルヴィンさんを伺いました。
急な話だし、そう簡単に理解出来るような話でもない。
最悪、頭が可笑しいなどと言われてもしょうがないかもしれない。
国や研究所といった所に僕を売るかも・・・まぁ、捕まるのは勘弁ですので全力で逃げますが。
色々な可能性を考えていた僕に、アルヴィンは意外な事を聞いてきました。
「……空から落ちたって、言ってたよな。」
「え?あぁ、はい。」
「そん時、緑のない陸地は見たか?」
「緑のない…あれが幻でなければ…えぇ、見ました。すぐに白い雲に覆われて見えなくなりましたが…。」
「……。」
「?」
それから黙ってしまったアルヴィンさんに、僕は首を傾げました。
空中でゴムの様な何かにぶつかったことも話すべきでしょうか?
……そもそも、この世界に“ゴム”はあるのでしょうか?
なければ違う例えを考えなければ…こんにゃく、とか?
あぁ、こんにゃくもなかったらどうしましょう?
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