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「顕(アキラ)様」 呼び掛けられて、当の顕は憮然と顔を上げた。この野郎が様付けで顕を呼ぶときは、ただひとつの事態に限定されている。 「なに、弘(ヒロム)クン」 飼い主に怒られた犬みたく机の脇にしゃがんでうなだれるそいつに、顕も通常とは違う呼び名で返す。 「追試の勉強見てください……」 「……………………留年しろ」 途端、ガバと弘が顕の足にすがりついた。弘はバスケ部で180cmオーバー、顕はこぢんまりと158cmに納まっているため、スゴい絵図になっている。 「あーきぃー!! 堪忍してェな! 俺、頑張るさかい!! むちゃ真面目な生徒になるさかいぃ!!!!」 「鬱陶しい退けこのヘタレ末期犬!! 真面目になれるならもっと早くなれ!! もう遅いんだよ!!」 食い下がる弘犬を足蹴にしつつ、顕はかなり手厳しい言葉を投げ付ける。 ちなみに場所は至って普通の共学公立高校の教室であって、ギャラリーはいくらでもいるのだが、最早この二人のやりとりは日常茶飯事になっているために、みんな振り向かない。 「あきィ!! お前愛しの恋人と離れるん寂しないんかい!!」 「あぁ。あ、そしたら先輩と呼べよ」 「リアルすぎて恐いわ!!」 関西人の完璧なノリのツッコミにも、半目顕は応じない。そろそろウルウルしつつある弘である。 「あき、頼む。後生やから。俺、イヤやねん、お前と対等でいつも並んでおられへんやなんて」 眉根をぎゅっと寄せてうつむく弘。顕は、無表情にその後頭部をじっと眺める。 そして、ため息すると、ぽん、と弘の頭を撫でて立ち上がった。机の中身を鞄に詰め始める。 「あき……?」 「借りは高くつくからな」 そう呟いてくれる優しさ。閉じられた瞳と呆れたように寄せられた眉。その頬を綺麗に彩る、淡い朱。 ――好きなんやで。そういうトコ、ホンマに。 「――わっ!!」 腕を引かれて、顕は弘の腕にふわっと抱き締められる。 「好きやで、あき……」 囁く先の耳は鮮やかなさくら色。照れが見て取れて、弘はくすぐったげに笑う。 が。 ゴスッ 「ゴハッ」 アッパー、フルスイング、腕の中より。 願いもかけられんばかりの星が弘の暗転した視界を舞い、意識が遠退く。 「んのッ、KY!!」 そんな憎まれ口も、愛しい愛しい、恋人との大切な日常。 ――この日々が続くんやったら、どんなスパルタでも甘んじて受けようやないか。 ……なら最初から頑張れよ、と、顕の言うとおりなのだが……。 その辺はスルー。 ★END★
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