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……暑い 何で夏休みに部活も無いのに学校来なきゃなんないんだよ〜。部活あってもビックリだけど。 …にしても暑い 中庭でひとり、花壇にホースでシャーっと水を撒いていく。 …つーか、 「中島は何で来てねーんだぁっ?!」 もうひとりの水やり当番の名前を文句を交えて叫ぶ。 そりゃあサボりたいのはわかるけどさ…面倒だし、暑いし。 けど今日一日だけじゃんか。それくらい我慢しろっての。 むくれながら遠くまで水を撒いてく。 早く終わらせたい気持ちが強すぎてかなり雑になっているけど…うん、ゴメン。 ――突然ポンっと肩を叩かれ、同時に 「高野。」と頭上から声が降ってきた。 声のする方へ見上げるのと一緒に、手にしていたホースの先もそちらへ向けてしまう。 しかも「うわぁぁっ!!」と叫び声をあげながら。 当然、ホースを向けられた相手はびしょ濡れ。 「叫びたいのはこっち…」 濡れた髪をかきあげながら呆れた顔して俺を見下ろす穂積先生。 「ごめん…なさい。」 ――幸い…なのか? 全身びしょ濡れは免れた先生は着替えに職員室へ戻って行った。 なぜか俺を引き連れて。 先生の後ろをついて歩いてると、ふと先生の手にしてるコンビニの袋が目についた。 「先生、コンビニ帰り?」 「え?―ああ、アイス買って来たんだ。食べるよな?溶けてなきゃいいけど…」 先生が少し不安げに袋の中を覗く。 「俺の分もあるの?」 「今日学校来るって言ってただろ。きっと『暑い』『だるい』って文句言ってるだろうと思って差し入れ用意したんだよ。」 振り返って濡れた手で俺の頭をガシガシと撫でくる。 「濡れるっ」 「誰のせいだよ」 軽く頭を小突かれた。 「俺が悪いんだけど……でも、いきなり声かけて来た先生も悪いっ。」 「だからって水かけるヤツがあるか」 なんて言いながら優しく手を握ってくる。 先生の行動はいつでも予想外だ。いっつも俺は翻弄されっぱなし。 …濡れるっつーの。 心の中で悪態つきながら緩みそうになる頬を空いた片手で抑えた。 ――職員室には誰もおらず、ガランとしていた。 先生は俺の手を引いて自分の席へと向かう。 「座って先に食べてていいから」 そう言うと、先生はロッカーのある奥の方の部屋へと歩いて行った。 先生の机…意外に整頓されてる事に驚いてしまう。 もうちょっと雑なタイプかと思ってたからホント意外だなぁ。 コンビニの袋の中身を見ると、バニラと抹茶があって…… うわ〜、迷う。 どっちもいいんだよなぁ。 う〜…ん、難しい…… 「……あー…どっち食べよう…。」 「両方食べれば?」 隣りから声がして、振り向くと先生の顔のドアップ。 驚いて身体を後ろへ退いてしまう。 先生を見て少し違和感を感じる。 「あれ…、何か雰囲気が違う?」 いつもワックスで髪を立ててるけど、今は下ろされていて前髪がおでこを隠してるからかな? 俺の手は無意識に先生の髪に触れていた。 「柔らかい、」 「お前の髪ほどじゃないけどな。」 先生は微笑んで両手で俺の頭をガシガシと撫で回し、耳元に唇を寄せた。 「…あんまり近づくと――理性無くすから、」 気をつけろよ、と囁かれた。 先生の息が耳元に触れたことにドキドキし過ぎて上手く思考が働かない。 今の言葉の内容をきちんと飲み込めない俺は――… ……えっと、 理性無くしちゃうと先生どうなるんだろ? 俺、何に気をつければいいんだ…? しばらく頭を捻ってみるも、よくわからなかった。 end
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