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告白すらしない、恋愛未満の想いだった。 放課後、帰路へ向かう相方が呼ぶのは、別の男の名前だ。 「あいつが好きなんだ。男同士なのにおかしいのかな」 苦しそうに紡ぐ孝弥に、変じゃないと笑ってやることしかできない。 「いいんじゃん、好きになったらさ」 潤はへらへら軽く受け流す。惚れた相手が同性でも構わないと思うのは、目前で恋愛相談を繰り広げる孝弥に、友情以上のものを抱いていたからだ。 幼なじみだった。ずっと隣にいたから、大切すぎて気づけなかった。 孝弥が笑うとくすぐったくて。 喧嘩すると哀しくて。 寄り添って生きることを疑わなかった。 孝弥が「気になるやつがいる」と言い出し、それが男だと知った瞬間、潤は想いを自覚した。 同性に抱くはずのない感情。そう決めつけて、淡い恋心を認めなかっただけだ。 だが、もう遅い。 「悩むくらいなら告っちゃえよ」 親友という立場を失うくらいなら。 潤はすぐさま蓋をした。胸の痛みは忘れたふりをして。 「そうだな、ありがとう」 見上げると少し背の高い孝弥が、やわらかく相好を崩す。切れ長の眼が優しい光を放っていた。 溢れそうになる言葉を呑んだ潤は、去っていく孝弥の逞しい背中を、いつまでも見送った。 景色が滲む。 淋しさと悔しさが入り混じって、もやもやと胸の中で渦を巻いた。 「キスくらい、しときゃよかったなぁ」 冗談で済ませれば、触れられたかもしれない。 醜い独占欲がそれを留めた。 これからも孝弥の親友でありたい。たとえ傷ついても、真っ先に頼られる存在として側に。 想いが色褪せるまで。 せめて互いに別々の道を歩き始めるまで。
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