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「どうしたの、春登水さん」 ドアが開いた瞬間に抱きついた春登水に、秋羅は心配気に声を掛ける。春登水のこんな姿は見たことがない。秋羅はそっと春登水を抱きしめ中に入るように促した。黙ったままの春登水をソファーに誘導した秋羅は、お茶でも入れようとキッチンに行こうとする。 「行くな……」 と弱々しく、まるですがるように言う春登水を秋羅は黙って隣に座り抱きしめる。 未だに過去に囚われ続ける秋羅を救ってくれるのはいつも春登水である。極道なんて仕事に邁進しているような人だけど、秋羅にとっては優しく大切な人である。そんないつも支えてくれる人が自分を必要としていることに、不謹慎にも俄に嬉しくなる。 「おまえは俺を置いて逝くなよ」 ぽそりと呟くように吐かれた言葉に秋羅はグサリと胸に何かが刺さるような感触を覚えたが、こんな状態の春登水に何も聞けないと眉を下げ、そっと春登水の頭を撫でた。 しばらくして春登水は、自分の頭を撫でていた秋羅の手を取り 「悪かったな」 と秋羅の背中をいつもの調子であやすようにぽんぽんとした。 離れていく春登水に少し寂しいなと思いながら、秋羅はいつもの調子に戻った春登水に安堵しその姿をまじまじと見、呆気にとられたように 「喪、服……?」 と呟いた。 春登水は上着を脱ぎ、無造作にソファーに投げ置いた。 「極道やめた兄弟分が事故で死んだ。 ずっと不義理してたことが悔やまれてな、まさかこんなことで俺より先に逝くなんて考えてもなかったからな……」 「春登水さん……」 「秋羅、おまえは今幸せか?」 「幸せだよ。 救ってくれたのは春登水さんで、幸せをくれたのも春登水さんだよ? これからも幸せにしてくれるでしょ?」 「……ああ。 当たり前だ」 「だから、春登水さんのことは僕が幸せにする」 「ああ。 おまえも、強くなったな秋羅」 「強くなれるのは春登水さんのお陰だよ?」 「そうか」 にこりと笑う秋羅の清々しさに癒されるながら、染々と強くなったなと思う。 「でも、なんだかいいね。 いつも包んでくれる春登水さんに甘えられるのも」 仄かに顔を赤くしながらも、 「あぁ?」 と言う春登水はいつもの春登水で、苦笑しながら 「だって、僕が春登水さんに必要とされてるんだって凄く感じるから。」 「当たり前だろ」 「僕だけの、特権だよね」 先程の何かが刺さるような感じはいつの間にか消え去り、胸の辺りが少しずつほわほわと暖かくなる。春登水は何かに耐えるように溜め息吐き、 「秋羅、いつまでも俺の横にいろよ」 と囁いた。
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