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博司 役員との食事は大抵、日本橋のお気に入りの小料理屋である。それから決まって銀座のスナックになだれ込む。役員には次のプロジェクトの結果次第では昇進があるかもしれないと言われ続けた。 しかし、頭の片隅にどうも小林の流した涙が引っ掛かった。 もしかしたらあの子は体を売ってしまうかもしれない…。 そんな考えがよぎる。800万位なら用立て出来ない事もないが…。 一旦、席を外して小林の携帯をコールする。 「もしもし…」 明らかに声に張りがない。 「さっきの話で気になってね…なんとかなる方法があるんだ。この後会って話せないかな?」 「本当ですか??」 明らかに声のトーンが変わった。 「ああ、部下の困ってる姿なんて何日も見たくないからね」 そう言って小林と約束をして電話を切った。役員は歳をとっているから10時には帰宅するだろうと踏み、11時に新宿で会う事にした。 思っていた通り銀座のスナックに移動した。その店でも美しい女性が隣に座っても頭から小林が離れなかった。10時を過ぎて役員が帰る準備をし始めた。銀座の中を歩きタクシーに乗る役員を見送る。お店のホステスに飲み直そうと色目で誘われたが断り銀行のATMへ急いだ。800万という大金を下ろしタクシーに飛び乗って新宿へ向かう。週末のせいなのか結構、道が混んでいて思うように走れないせいか運転手もいらついている。 待ち合わせ場所に着くと混み合う雑踏で小林の姿を中々見つける事が出来ない。 「課長!」 人ゴミを掻き分けるようにして嬉しそうに小林が駆け寄ってくる。いつも会社で目にする小林と違う印象である。 「急に呼び出してしまって申し訳ないね…事は急いだ方がよさそうだからね」 「いえ、とんでもないです…どうします?どこかに入りましょうか?」 覗き込むようにして聞いてくる。 「そうだな…もう今の時間から喫茶店というわけにもいかないからね…どうだい?少し落ち着けるところで一杯飲まないか?」 「はい、大丈夫ですよ」 タクシーに乗り込んで高層ビル群にあるシティホテルへ向かう。タクシーの中には変な緊張感が立ち込めていた。 タクシーを降りてエントランスホールを抜け、エレベータで一気に高層階に上った。小林は博司の歩く後ろをただついていくだけだった。向かった先はラウンジバー。暗い照明に大きな窓。その先には宝石を散りばめたような夜景が広がる。博司のお気に入りの場所の一つである。 「わぁー凄い景色」 感動を込めて小林が言った。 「こういうところに来た事は無いのかい?」 「はい、初めてです」 案内された席についてカクテルを頼む。 「課長…さっきの話なんですが、いい解決法って本当ですか?」 小林が不安げに聞いてきた。 「…」 「どうして急に黙ってしまうんですか?」 「実は、800万用意してきたんだよ…どうにも君の表情が瞼に焼き付いてしまってね」 「え?」 小林が一瞬固まる。 「僕が君にこの金を渡すのは簡単なんだ。でも、そういうわけにはいかないだろ?」 「…」 「月曜日に日帰りで名古屋に出張に行くんだけどね…君の返事によっては明日から名古屋に入ろうと思っているんだよ…すぐに答えを出せとは言わないよ」 「課長それって…」 「うん、仁義に反している事をしているのは解っているつもりだよ。でも君が変な所で働く位ならこうした方がいいのかとも思ったんだ」 自分のしている事をまるで正当化するような口ぶりで言った。二人の席は暫くの間沈黙が続く。 カクテルを飲み干し、席を立つ。 「無理はしないさ…よく考えてみてくれ、明日の午前中くらいまでにメールをくれればいいから」 伝票を取って歩き出すと小林も一気に飲み干して後をついてきた。エレベータに乗り込むと声を微かに震わせながら口を開いた。 「課長、一緒に連れていって下さい!」
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