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 おべんきょしましょ?
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「ねぇ哲也ー…そろそろ終わった?」
「まだ。あと一問」
「さっきもそう言ってたじゃん…あーもう!」

黙々とテキストに向かう哲也の後ろで、俺はゴロンと寝返りを打った。
ぎゅうっと枕を抱きしめれば、仄かに哲也の匂いがする。

「…まだぁー?」
「まだ、だ」

カリカリと室内にペンの走る音が響く。新しい計算用紙を用意する長い指を、俺はじっと眺めた。

(…やっぱりイイ)

真剣に勉強をしているときの哲也ほどカッコいいものはない、と最近本気で思う。

今見えてるのは背中だけだけど、授業中の哲也ときたら、ホントにもう素敵オーラが出すぎてて直視できないほどだ(いや見るけどね。マジで鼻血出そうになる)。

それに彼は驚くほど成績が良くて、テストでは毎回トップ争いの常連だ。
そんな秀才くんは俺の恋人!今日は休日、思い切りいちゃつける!
…そう思ってたのに。

「なぁ哲也…構ってくれないと俺、死んじゃうよ?」
「そんな簡単に人は死ねません。あと少しだから待て」
「ゔー…早くぅ」

さっきからこんな調子。おあずけをさせられる犬になった気分。

----------------

「…ん、終わった」
「マジでっ?!」

ガバッと勢いよく上半身を起こす。

「カムヒアっ哲也!」

俺はベッドをポンポンと叩き、隣に来るよう彼を促した。
だけど哲也は軽くこちらを一瞥しただけで、再び机に向きなおってしまう。

「へ?…あのー、哲也さーん…」
「さて、数学の次は英語かな」
「はぁ?!」

(何言っちゃってるんだこの人はっ!)

「ダメだって、休憩も大事!ね?だからほら、おいで?」
「…お前なぁ、今日でテスト一週間前だぞ?少しは焦れ」

真面目すぎる哲也に、少しだけ苛立ちを覚えた。
拗ねる俺に構わず、彼は再びペンを走らせる。

(…こうなりゃ強行手段にでるしかないよね?)

そっとベッドから降り、慎重に哲也に近づく。振り向く様子もなく、ひたすら勉学に励む哲也。

(こう、後ろからぎゅーっと…よし、3・2・1…!)

「っ…ぅわ!!」

視界がぐるっと回った。
俺は床に倒れ込み、さっきまで椅子に座っていたはずの哲也は俺の上にいる。

「な、何でっ?」
「フツー気づくっての。…で?何しようとしてたのかなー、拓海くんは」

不適な笑みを浮かべる哲也。

----------------

「っ…哲也が悪いんだ、勉強ばっかしてるから!」
「それじゃ答えになってないけど?」
「ふん、別に…何もしてない」

不意をつけなかったのが悔しいのと、押し倒された焦りから、つい口調がキツくなる。

「嘘つき。目が泳いでる」
「なっ、ホントだし!」
「嘘つくのはいけないことだって教わらなかったか?…これはお仕置きしなきゃかな?」

クスクスと笑う哲也の声。
こんな状況でも、やっぱりカッコいいな…なんてつい見とれてしまう。

や、でもそんな場合じゃなくて!

「…おし、おき?」

不意に哲也の顔が近づいてくる。俺は反射的に目をつぶった。

(は、嘘、何っ…?)

─チュ…

「っ!」
「バーカ。冗談だよ」

頬に柔らかいものが当たったかと思うと、哲也が俺から離れた。
俺は横たわったまま彼を呆然と見上げる。

「何?もしかして期待しちゃった?」
「っ…し、してない!」
「はは、まぁいーや。ちょっと俺、お茶持ってくる」

哲也は俺の頭をくしゃりと撫でてから部屋を出ていった。

(…あーあ。今日もその気なし、か)


----------------

哲也と付き合い始めて2ヶ月がたつ。だけど未だに俺たちの関係はキス止まりだ(しかもほっぺだけ)。

(俺だって、健全なる高校生男児なんだぜ…?)

「…ーシたいなぁ」
「何を?」
「何ってそりゃ、哲也とセッ……っあ?!」

いつの間にか背後には、お盆に麦茶を乗せた哲也の姿。

(きっ…聞かれた…?)

血液が顔に集中する。
俺は声も出せず、ぱくぱくと口を動かした。

「ぷ…何だよ拓海、そのまぬけ面」
「ふぇ?」

くすくすと哲也は普段と変わらぬ様子で笑った。

(あれ…?な、なんかフツー、じゃね?)

隣に座った彼の横顔を俺はちらりと盗み見た。

「拓海」
「え?」

突然名前を呼ばれ、必要以上に反応してしまう。
そんな俺を見てか、哲也は優しい微笑みを浮かべた。

「拓海」
「…な、何?」
「しよっか」

何を…と聞き返そうと口を開いたその瞬間。

─クチュ…

「…!っん…」

熱いものが俺の口の中に入り込んだ。舌を絡めとられ、哲也の唾液が俺のそれと混ざりあう。

「んっ…ふぁ…んぅ…」

必死で酸素を求めても、それはただの喘ぎ声にしかならなくて。

----------------

深い深いキス。…頬にしか感じたことのない、哲也の唇が、舌が俺を攻め立てる。

(…こんなに、熱かったんだ…)

頭がぼんやりとしてきて何も考えられなくなった頃、哲也は名残惜しそうに唇を離した。

「っ…はぁ、は…」

荒い呼吸をなだめる。
哲也を見ると、彼は俺から顔を逸らしていて、表情を確認できなかった。

「て、つや…?」
「今日はここまでな」
「へ?」

(今日は…ってどういうこと?)

すでに熱く火照り始めた俺の体を、哲也はぎゅっと抱きしめた。

「拓海がセックスしたいと思ってるのは知ってる。だけど、今はその時じゃない……わかる?」
「え、あ…うん…何となく。でも、じゃあその時っていつだよ?」
「んー…お前のテストの結果次第かな」

哲也は抱きしめた俺の頭をくしゃくしゃとかき回した。俺は何だか嬉しくなって、彼の背中に腕を回した。

----------------

「…じゃあ順位上がったら続きしてくれる?」
「ああ」
「わかんないとこあったらさ、哲也教えてくれる?」
「ああ」
「ホントだな?」
「ああ」
「結果次第では、学校でヤってくれる?」
「ああ……って待て!それはダ」
「よっしゃ!俺頑張るからな!」

彼の“ダメ”を見事聞き流し、俺はにっこりと笑った。
諦めたように哲也はため息を吐いて立ち上がる。
一瞬だけ見えたその顔は…──

「あれ?哲也、顔…」
「うるさい。ほら早く勉強しろ!…俺だって、続きしたくないわけじゃないんだからな?」
「へ?その言い方じゃ分かりづらいよ」
「分からなくていい」

その顔は、耳まで真っ赤に染まってて。

正直な話…
こんな可愛い反応見せちゃう哲也に、俺を抱くなんてことできるのか?
…なんて不安に思ってしまったけど。

「70番以内に入れたら絶対校内エッチな!」
「っ、黙れ!」

─Fin.


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2007/01/17
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