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 蔑
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 R指定:有り
   あらすじ:【蔑】さげすむ。見下す。軽蔑する。
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フランケンシュタインのような男はフロントにキーを預けるとホテルの外へ出て行った。
俺はマスターキーを使って男の部屋に忍び込む。
ホテルの従業員として勤め、客の荷物を荒らすのを生業としている。
無論捕まった事もあるがやめられない。
このスリルに溺れている。
だから金品にはさほど手はつけず、
部屋に忍び込み他人の私生活を覗き見する程度。
フランケンシュタインは胸程の高さまである大きなトランクを持ち込み、俺の眼を惹いた。
『何が入っているんだ』
トランクは部屋の真ん中に置いてあり鍵は外されていた。
蓋を開けて悲鳴を堪える。中に人が入っていた。

胸元にフリルのついた白いシャツに黒いズボン、
膝を抱く姿勢。
黒髪は襟足で切り揃えられているが、一見性別の解らない綺麗な顔をしている、歌劇団の男役のようだ。
恐れでなく興奮で俺は震えた。
死体か人形か確かめようと近付くと突然眼を開き、これには驚き腰を抜かす。
そいつはトランクから這い出し俺に乗し掛かかると声も出ない俺の手の甲に口付け、
「貴方の望む通りご奉仕致します」
と唇を合わせ、舌が絡む。
俺のベルトに奴の手が掛り、神経のメーターが振りきれる瞬間、俺を冷たく見下ろすフランケンシュタインと眼が合った。







2007/05/20
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