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 独占欲
© 透流 
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「学(マナブ)〜、やっぱりお前って良い男だよなぁ〜」

誰だよ……天城さんにこんな飲ませたの…。

「ありがとうございます。だから先輩、飲むの止めましょ」

目付きが怪しく、顔所か首筋まで赤くしてる天城さんに向って愛想笑いを浮かべて手に持っているグラスを取ろうとする。
この人は普段かなりキツい。
でも一旦酒が入ると途端に人が変わった様に饒舌になり、甘えたになってしまう。

「まだ飲んでるのっ。そんなに意地悪するなよぅ…」

絡んだかと思ったら今度は拗ね始めた…。
綺麗な顔が膨れっ面になる。
そんな天城さんに慣れっこのサークルのメンバーは苦笑いしながら俺を見て『なんとかしろよ』と目配せして来た。
はいはい…分かってますよ。

「飲み過ぎです。帰れなくなっても知りませんよ?」

虚ろな目で俺を睨んで来る。
なまじ綺麗な顔なだけに睨まれると怖い。
でも、そんな目にはこちとら慣れっこだ。

「なんだよ、学のクセに。大体いつも…」

「はいはい、俺が悪かったですね。すみません」

投げやりな俺の態度に『そうだっ!』と言わんばかりに頷く。
もう頷いたってより、酔い過ぎて首が座って無い状態だ。
こうなったら行き着く先は寝るだけ。
………酔っ払いは重い。
しかも天城さんはデカい。
多少なりとも俺がデカいとしても、デカくて重いには変わらないし。

「俺、天城さん送るわ」

起きてる内に自らの足で移動して頂く為、そう言って立ち上がろうとすると天城さんは俺の袖を掴んで座らせ様とする。

「まだ……帰んない」

全く…この人は……。
俺は天城さんの耳に顔を近付け囁く。

「(心尊(コダカ)さん……帰りますよ)」

俺の言葉を聞いた天城さんは赤い顔を更に赤くし、俺の顔を見てニッコリ笑った。

「うん、帰る」

俺に支えられながら居酒屋を後にする。
お願いだから…俺以外の人の前であんな無防備な表情を見せないで。

「学……キスして」

人が居ないのを確認すると天城さんは俺に甘えて来る。
俺は天城さんの形の良い唇に自分の唇を重ねた。

「もっと…」

酔ってても、絡んだり拗ねたりするのは俺だけ。
こんな表情を見せるのも俺だけ。

俺の可愛い……恋人。

俺はニヤリと笑うとさっきより深く口付けた…。

     -end-







2008/05/19
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