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 VOICE
© 壱太 
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 キーワード:ほのぼの 甘々
 あらすじ:休日の恋人同士のイチャイチャ話。ひたすらイチャついてるだけです。
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一番惹かれたのは、「声」だった。

端整な顔立ちも、長い睫も、節ばった長い指も、艶やかな黒髪も、全部好きだけど。

何よりも、アイツの声が好き。

耳元で囁かれると、背筋が震える。

心地良い重低音。

名前を呼ばれるだけで、身体が熱くなる。


「なぁ、俺の名前呼んで?」

「…じゃあこっちおいで」

呼ばれるまま相手の両脚に跨って座る。
視線が、真正面からぶつかる。

「…真白(ましろ)」

愛しそうに目を細めて、俺の頬をその大きな両手で包み込む。
そして、祈りの言葉でも言うように俺の名前を呼ぶその声は。

まさに麻薬。

「もっと…もっと近くで、もっと…」

頬にある相手の手に自分の手を重ねて、子供のように強請る。
そんな俺に応えて、惜しげもなくソレを与えてくれるから。

「真白、好きだよ…」

「ん…っ」

そっと抱き竦められると、頬を擦り寄せながら耳元でまた俺の名前を囁く。
それが堪らなく気持ち良くて、擽ったくて、軽く腰を捩った。
逃がさないというように、俺の腰をしっかり抱き締めて、何度も俺の名前を呼んでくれる。

それしか言葉を知らないのかと、思うほど。

「真白、俺の名前も呼んで…?」

耳朶に軽く歯を立てながら一層甘く、低く囁く声に、俺はもう完全に酔っていて。
熱に浮かされたように、相手の名前を呟いた。

「っ、十夜(とおや)…」

「真白…」

十夜は満足そうに双眸を細めて微笑んだ。





「やっぱり俺、十夜の声が一番好き」

「声だけ?」

「全部好き。でも声が一番好き」

十夜の脚から降りて、隣に腰掛けた。
俺の髪を梳くように撫でながら、十夜は俺の言葉を聞くと少しだけ眉尻を下げて笑った。

「…俺はそういう真白の正直なところが好きだよ」

「どういう意味?」

「そのままの意味」

これ以上問い詰めても答えてくれそうにないから、諦めて相手の肩に頭を乗せて身体を預けた。


そんな俺らの、午後の一時。


-END-







2008/06/03
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